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大金块-猫眼石戒指(1)

时间: 2021-10-28    进入日语论坛
核心提示:ねこめ石の指輪 ややあって、宮瀬氏は何を思ったのか、明智探偵に内密の話があるからといって、不二夫君と喜多村とを立ちさらせ
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ねこめ石の指輪


 ややあって、宮瀬氏は何を思ったのか、明智探偵に内密の話があるからといって、不二夫君と喜多村とを立ちさらせ、ぴったりドアをしめて、探偵とただふたり、テーブルをはさんで、さしむかいとなりました。
「さいぜんも、ちょっとお話したように、わたしは、そのかくし場所を少しも知らなかったのです。しかし、どこかしらこの家の中に、あるたいせつな書きものが、かくしてあることは、よく知っておりました。亡くなったわたしの兄がかくしておいたのです。
 わたしは、それを手をつくしてさがしました。兄がこの家をわたしにゆずって、亡くなってから一年ほどになるのですが、そのあいだ、わたしは毎日のように、この家のすみからすみまでさがしまわったのです。しかし、秘密のかくし場所は、どうしても見つかりませんでした。
 それを、あなたは、たった一時間のあいだに、見つけてしまわれた。いったい、どうしてこの秘密がわかったのですか。」
 宮瀬氏は、ほとほと感じいったように、明智の顔を見つめるのでした。
「いや、何もわたしのてがらではありませんよ。この紙きれです。この紙きれが、教えてくれたのです。」
 明智はやっぱり、にこやかに笑いながら、少しも高ぶらないで答えました。
「それはわかっています。むろんその紙きれが手がかりになったことはわかっていますが、どうして暖炉の彫刻にお気づきになったのか、まるで手品のようで、わたしなどには、さっぱりわけがわかりません。」
「いや、なんでもないことなのですよ。」
 明智は、むぞうさに説明しました。
「ぼくもはじめは、たいへんな思いちがいをしていたのです。五に三たす八、十三から二ひく十一というふうに、たし算とひき算をするのだとばかり思っていたのです。
 それで、この部屋の中に八とか十一とかいう数のものが、何かないかと、そのへんを見まわしていますと、あの置き時計が目につきました。時計の文字盤には、一から十二までの数字がきざんであるのですからね。
 わたしは、ふと、あの時計の針を、八時のところへまわしたり、十一時のところへまわしたりすれば、秘密のかくし場所がひらくようなしかけになっているのではないかと考えました。
 しかし、あの時計をよくしらべてみますと、どうもそんなしかけがあるらしくも思えません。そこで、わたしはまた部屋のまん中に立って、心をしずめて、四方を見まわしたのです。すると、こんどはあのたなの下の彫刻が目にはいりました。
 そこで、あのまるい彫刻の左から八番めと十一番めを動かしてみたり、右から八番めと十一番めを動かしてみたりしましたが、これも失敗でした。少しも動かないのです。
 わたしは、とほうにくれて、紙きれをもう一度ながめました。そして数字を見ているうちに、ふとべつの考えがうかんできたのです。
 この+や-の(しるし)は、たしたりひいたりするのでなく、もっとほかのことを教えているのじゃないかしら、ためしにたしたりひいたりしないで、もとの数でやってみようと考えたのです。もとの数というのは、つまり五と十三ですね。
 そこで、まず左からかぞえて五番めのまるい彫刻を、動かしてみました。すると、なんだか少し動くような気がするのです。ためしに右へねじってみますと、ぐるぐるまわるじゃありませんか。
 ひょっとしたら、五にたす三は、三回まわせという意味かもしれない。そう考えて右へ三回まわしますと、何か、かすかな手ごたえがあって、そこでぴたりととまって、動かなくなりました。
 こんどは左からかぞえて十三番めの彫刻です。動かしてみますと、やっぱりまわるのです。右へではなくて、左へまわるのです。
 そこで、わたしは、すっかり、紙きれの数字のわけがわかりました。+のほうは右へまわせという印で、-のほうはその反対の左へまわせという印なのです。13-2ですから、十三番めの彫刻を左へ二回まわせばいいのです。
 そのとおりにしますと、あんのじょう、あの獅子の口がひらいたというわけですよ。」
「ああ、そうでしたか。その紙きれの数字は、金庫をひらく暗号と同じものだったのですね。それにしても、あの暖炉のかざりの彫刻にお気づきになるとは、やっぱり専門家はちがったものです。われわれには思いもおよばぬことですよ。」
 宮瀬氏は感じいって、探偵の知恵をほめたたえたのでした。
「しかし、わたしはまだ、あの獅子の口の中に、何がはいっていたかということを知らないのですが、それほどにして、賊がぬすんでいったところをみますと、よほどたいせつなものだったのでしょうね。」
「そうです。ばくだいな金額のものです。今のねうちにすれば、おそらく一億円をくだるまいと思います。」
 宮瀬氏は、人に聞かれるのをおそれるように、さも一大事らしく、ささやき声になって、いいました。
「エッ、一億円? それは、たいへんな金額ですね。いったいどういう書類なのです。」
 さすがの明智探偵も、金額があまりに大きいのに、びっくりしたおももちでした。
「暗号文書なのです。一億円の金塊のかくし場所をしるした暗号なのです。とつぜんこんなことをいったのでは、おわかりにならないでしょうが、これには深いわけがあるのです。あなたには、その暗号文書を賊の手から、取りもどしていただかねばなりませんから、だれにも打ちあけたことのない秘密を、お話するのですが、それはこういうわけなのです。
 わたしの祖父にあたる宮瀬重右衛門(じゅうえもん)というのは、明治維新(めいじいしん)まえまで、江戸でも五本の指にかぞえられる大富豪だったのです。
 その重右衛門という人が、まあおくびょう者とでもいうのでしょうね。維新のさわぎで、江戸に大戦争が起こるといううわさを聞きますと、そうなれば自分のような商人なぞは、どんなめにあうかしれないというので、たくわえていた百万両以上の金銀のほかに、(いえ)(くら)まで売りはらってしまって、それをすっかり大判小判にかえ、何百という千両箱につめて、どこか遠い山の中へ、うめかくしてしまったのです。
 さっき金塊と申しましたが、じつは大判小判のかたまりなのです。いや、大判小判の山なのです。それをわたしの兄は、『大金塊、大金塊』と申していたのです。
 それから重右衛門は、一家のものを引きつれて、山梨県の片いなかにひっこみ、そこで亡くなったのですが、亡くなるときに、その子ども――というのは、つまりわたしには父なのですが――そのわたしの父に宮瀬家の宝もののかくし場所をしるした、暗号文書をのこしていったのです。
 重右衛門も、わたしの兄と同じように、急病で亡くなったので、くわしいことをいいつたえるひまがなかったのだと申します。

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