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大金块-大抓捕

时间: 2021-10-28    进入日语论坛
核心提示:大捕り物 まんまと賊をあざむき、首領をびっくりさせるような手紙までのこして、地下室をぬけだした小林少年は、何よりもまず、
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大捕り物


 まんまと賊をあざむき、首領をびっくりさせるような手紙までのこして、地下室をぬけだした小林少年は、何よりもまず、その地下室の上には、どんな建物が建っているのか、また、そこはなんという町なのかということを、たしかめなければなりませんでした。
 なぜといって、小林君が賊のために、この地下室へつれられてきたときには、長イスの中にとじこめられていて、まったく外を見ることができなかったからです。
 地下室の階段をかけあがって、あたりを見まわしますと、そこはコンクリートのヘイにかこまれた庭の中で、地下の真上にあたるところには、古い木造の洋館が建っていました。
 コンクリートのヘイにそって走っていきますと、まもなく門のところに出ました。正面の門のとびらはぴったりしまっていましたが、そのわきのくぐり戸があいていたので、小林君は、なんなく門の外に出ることができました。
 外に出て、門灯の光で、門の柱を見あげますと、そこに出ている表札には「目黒(めぐろ)上目黒(かみめぐろ)六丁目一一〇〇、今井(いまい)きよ」という女の名まえが書いてありました。
 今井きよというのは、あの美しい女首領の偽名にちがいありません。こんなやさしそうな名まえで世間の目をごまかして、地下室では、覆面をして男になりすまし、おおぜいの手下を自由に追い使っているのです。
 じつにうまく考えたものです。あの美しい女の人が大どろぼうだなんて、だれだって夢にも思わないでしょうからね。
 でも、小林君は、そんなことを、考えているひまもありません。ぐずぐずしていれば、賊の手下が追っかけてくるのですから、ただ表札の町名番地と名まえとを、すばやく暗記して、そのままかけだしました。
 少し行きますと、道のわきに、まっくらな原っぱみたいなところがありましたので、小林君はそこへかけこんで、くらやみの中で、変装の覆面を取り、ルパシカをぬいで、もとの服の少年姿になりました。
 そして、覆面とルパシカとは小さくまるめて、こわきにかかえ、にぎやかな表通りのほうへ急ぎました。
「なんにしても、早くこのことを、明智先生にお知らせしなければならない。先生きっと心配していらっしゃるだろうからなあ。ああ、ちょうどいい。あすこに公衆電話があるから、帰るまえに電話でお知らせしておこう。」
 小林君はとっさに思いついて、その町かどにあった公衆電話へとびこみました。
「ああ、小林君か。どこからかけているんだ。え、うまく逃げだしたって? 暗号も手に入れた? それはえらい。さすがにきみだ。きみなら、きっとうまくやるだろうと思ったが、しかし心配していたよ。よかった。よかった。」
 電話のむこうから、明智先生の声があわただしく聞こえてきました。
 小林君は賊の首領が女であること、今井きよという名まえで上目黒の洋館に住んでいることなどを、てみじかに知らせたあとで、女首領にあてて、手紙をのこしてきたことをいいますと、明智探偵は心配そうな声で、
「きみ、その手紙に自分の名を書きやしなかったかい。」
とたずねました。
「ええ、書きました。明智探偵の助手の小林って書きました。あいつらが、ぼくを不二夫君と思いこんでいるので、びっくりさせてやろうと思ったのです。」
「しまった。そいつはまずかったね。きみにも似あわない、つまらないまねをしたじゃないか。」
「どうしてですか。」
 小林君は不服らしく聞きかえしました。
「どうしてって、わかりきっているじゃないか。きみがぼくの助手とわかれば、賊は用心をするにきまっている。逃げだしてしまうかもしれない。せっかくかくれ家がわかったのに、逃がしてしまっちゃ、なんにもならないじゃないか。」
 小林君はそれを聞いて、ハッとしました。
 いかにも大失策でした。暗号を取りもどしたことだって、賊に知らせる必要は少しもなかったのです。ただこっそり逃げだしさえすればよかったのです。なんだか賊にいばってやりたいような気がして、手紙なんか書いたのは、たいへんな失敗でした。
「先生、ぼく、うっかりしていました。どうしたらいいでしょう。」
 小林君は、先生に申しわけない気持ちがいっぱいで、もう泣きだしそうな声になっていました。
「その女首領は、きみが逃げだすときには、まだ帰っていなかったんだね。」
「ええ、そうです。」
「じゃ、まだ、まにあうかもしれない。ぼくはこれからすぐ、警視庁へ電話をかけて、中村君に犯人逮捕の手はずをしてもらっておくから、きみは急いで帰ってくれたまえ。」
 中村君というのは、警視庁の捜査係長で、明智探偵とは、ごくしたしいあいだがらなのです。
 小林君は先生にしかられて、がっかりしてしまいましたが、でも、自分の不注意ですから、しかたがありません。二度とこんな失敗はくりかえさないようにしようと、かたく心にちかって、公衆電話を出ました。
 もう十一時半でしたが、大通りにはまだ人通りがあり、タクシーも通っていましたので、それを呼びとめて、明智探偵事務所へ急ぎました。
「先生、とんだ失策をしてしまって申しわけありません。」
 小林君は明智先生の書斎にはいると、まっさきにおわびをしました。
「なあに、そんなにあやまることはないよ。たとえ賊に逃げられたとしても、きみは暗号を手に入れたという大てがらをたてているんだからね。さっきは、ぼくのいい方が、少し強すぎたようだね。気にしないでもいいんだよ。」
 やっぱりいつものやさしい先生でした。小林君は先生のにこにこ顔を見て、ほっとしましたが、そんなにやさしくいわれますと、いよいよ自分の失策がはずかしくなるのでした。
「これが暗号です。化粧台のクリームのつぼの中にかくしてあったのです。」
 小林君は内ポケットの手帳の中から、暗号の紙きれを出して、先生に手渡し、それを手に入れた順序を報告しました。
「うん、よくやったね。たった一晩で、秘密の通路を見つけだし、賊の正体を見やぶり、クリームつぼのかくし場所まで気がつくなんて、きみでなければできないげいとうだよ。ありがとう、ありがとう。」
 明智探偵は小林君の肩に両手を乗せて、さもしたしげにお礼をいうのでした。小林君はそれを聞いて、なんだか目の奥があつくなるような気がしました。そして、心のなかで、この先生のためなら、命をすてたってかまわないと思うのでした。
「暗号の研究は、あとでゆっくりとすることにしよう。」
 明智探偵は、暗号文の紙を書斎の秘密の金庫の中にしまいました。
「きみが、暗号を取りもどしたことは、いま宮瀬さんに電話で報告しておいたよ。宮瀬さんもたいへん喜んでおられた。それから中村警部に電話したが、夜中だけれども、そういう大事件ならば、すぐに部下のものをつれて、賊の逮捕にむかうからということだった。ちょうど、ここは上目黒への通り道だから、中村君たちはここへ立ちよることになっている。」
「じゃ、ぼくがご案内しましょうか。」
「うん、そうしてくれたまえ。むろん、ぼくもいっしょに行くよ。だが、賊が逃げだしたあとでなければいいがなあ。」
 そうしているところへ、表に自動車のとまる音がして、中村捜査係長の一行が到着しました。係長のほかに七名の刑事が、二台の自動車に乗ってやってきたのです。ものものしい捕り物陣です。
 明智探偵と小林少年とは、前のほうの自動車に乗って、案内役をつとめることになり、二台の自動車は、そのまま深夜の町を、上目黒めざして、おそろしいスピードで走りだしました。


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