日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 大金块 » 正文

大金块-宝藏洞穴

时间: 2021-10-30    进入日语论坛
核心提示:宝の穴 流れるといっても、わずか五メートル四方ぐらいのほら穴の中ですから、そこを一方にむかって流れていけば、たちまち岩の
(单词翻译:双击或拖选)

宝の穴


 流れるといっても、わずか五メートル四方ぐらいのほら穴の中ですから、そこを一方にむかって流れていけば、たちまち岩の壁につきあたるはずです。
 ところが、ふしぎなことに、ふたりはくらやみの中を、ぐんぐんとおし流されているのに、どうしたわけか、少しも岩にぶつからないのです。ほら穴がきゅうに広くなるはずはありませんし、じつにみょうなことが起こったものです。
 ふたりはむがむちゅうでもがいていましたが、すると、手足が水の中で、何かかたいものにさわっているのに気がつきました。
 小林君は、思わず水の中でよつんばいになって、それから、力をこめて立ちあがってみました。すると、これはどうでしょう。水の深さは、もものへんまでしかないことがわかりました。ちゃんと立っていられるのです。
「不二夫君、浅いよ。浅いよ。だいじょうぶだから立ってごらん。立てるんだから。」
 その声にはげまされて、不二夫君も立ちあがりました。水はぐんぐん一方に流れていますけれど、足をさらわれるほどではありません。
 立ったひょうしに、思わずそのへんを手さぐりしますと、両がわとも、手のとどくところに、岩の壁があることがわかりました。
「あ、わかった。これはぬけ穴なんだよ。こんな高いところに、岩のさけめができていたんだ。そこへ水が流れこんでいるんだよ。」
 小林君がさけびました。
「そうだ。じゃ、ぼくらはたすかったんだね。」
 不二夫君も、うれしそうな声をたてました。
 ほら穴の天井に近いところに、思いもよらぬぬけ穴があって、ほら穴にあふれた水が、そこへ流れていたのです。水は、ふたりの少年をおぼれ死にさせないで、かえって、そのいのちをすくったのです。
 しかし、まだ安心はできません。もしこのぬけ穴が、すぐ行きどまりになっているとすれば、やっぱり、そのうちには、水でいっぱいになってしまうかもしれないからです。
「あ、そうだ。こういうときの用意に、ぼくはマッチをだいじにとっておいたんだ、ねえ、不二夫君、ぼくはマッチをぬらさないように、ドロップのあきかんに入れて、腹巻きの中へしまっておいたのだよ。」
 小林少年は、じまんそうにいって、ぬれた腹巻きからあきかんを取りだし、ポンと音をさせてそのふたを開きました。
 シュッという音といっしょに、たちまち、目の前が昼のようにあかるくなりました。やみになれた目には一本のマッチの光が、おそろしく明かるく感じられたのです。
 いそいで、あたりを見まわしますと、そのぬけ穴は、むこうのほうほどせまくなってはいますが、行きどまりではないことがわかりました。
「きみ、あっちへ行ってみよう。」
 小林君は、もえきったマッチをすてて、穴の奥へ進んでいきます。不二夫君も、そのあとにしたがいました。
 五メートルも、水の中をジャブジャブ進みますと、穴はずっとせまくなって、腰をかがめてやっと通れるほどでしたが、そのせまいところを、手さぐりで、また二メートルもはいっていきますと、とつぜん両がわの岩がなくなって、広い場所に出ました。
 小林少年はそこで立ちどまって、もう一度マッチをすってみましたが、さいぜんのほら穴の倍もある、広い洞くつであることがわかりました。
「不二夫君、ぼくらは助かったよ。いくら海水がおしよせたって、この広いほら穴をいっぱいにすることはできないからね。」
 見れば、水はやっと足首をかくすくらいに浅くなって、流れかたもずっとおそくなっているのです。
「やっぱり、泳いでいてよかったねえ。きみがはげましてくれたからだよ。」
 不二夫君はうれしさに、ギュッと小林少年の手をにぎりしめるのでした。
 そして、ふたりは広いほら穴の中を見まわしていましたが、小林君のかざしていたマッチが、いま消えようとするとき、不二夫君が、びっくりするような声でさけびました。
「あ、なんだかあるよ。きみ、あすこにへんなものがあるよ。」
「え、どこに?」
 ききかえしたときには、もうマッチが消えてしまったので、小林君は、また一本新しくマッチをすって、不二夫君の指さすほうをてらして見ました。
 遠いので、よくわかりませんが、どうも岩ではなさそうです。なんだか四角なものが、うじゃうじゃとかたまっているのです。
 ふたりはいそいで、そのみょうなものに近づいていきました。とちゅうでまたマッチが消えたので、小林君は、もう一度それをすらなければなりませんでした。
 まぢかに近よって、マッチの光でよく見ますと、それは、やっぱり岩ではなくて、何十何百ともしれぬ木の箱が、山のようにつみあげてあることがわかりました。
 みかん箱を平べったくしたような形の、じょうぶそうな木の箱で、板の合わせめには、黒い鉄板が(おび)のようにうちつけてあります。
「あ、これ、昔の千両箱じゃない?」
 不二夫君が、とんきょうな声でさけびました。
「うん、そうだ。千両箱とそっくりだ。あ、これだよ! これだよ! きみの先祖がかくしておいた金のかたまりっていうのは、これなんだよ。」
 小林君も、思いもよらぬ大発見に、われをわすれてさけびました。
 ほんとうをいいますと、その箱は昔の千両箱よりもずっと大きく作ってあったのですが、ふたりの少年は、そこまでは気がつかないのです。
 それから、ふたりは何本もマッチをすって、むちゅうになって、このおびただしい箱の山を見まわしていました。やがて、またしても、不二夫君がとんきょうなさけび声をたてました。
「きみ、見たまえ。ここだよ。ほら、箱がやぶけて、ほら、こんなに、ぴかぴか光ったものが……。」
 小林君がマッチを近づけてみますと、一方のすみの箱のふたに、さけめができて、そのすきまから、中のものが、きらきらと見えているのでした。
「あ、小判だ。昔の金貨だよ。」
 小林君は、そのせまいすきまから、やっと指を入れて、四、五枚の小判を取りだしました。そして、またマッチをすって、ふたりが顔をくっつけるようにして、それをながめました。
「きれいだね。金だから、ちっともさびないんだね。」
「そうだよ。明治維新といえば、今から七十何年も昔のことだろう。こんなにたくさんの金が、七十年のあいだ、だれにも知られないで、ここにかくしてあったんだね。」
「この箱の中に、小判が何枚はいっているんだろう。千両箱だから、千枚かしら。」
「もっと多いよ。見たまえ、こんなにいっぱいつまっているんだもの、二千枚だってはいるよ。それから、小判ばかりじゃなくて、ほかの箱には、きっと、もっと大きい形のもはいっているんだよ。金の棒やかたまりもはいっているんだよ。」
「いったい、この箱いくつあるんだろう。」
「かぞえてみようか。」
 ふたりの少年は、もうむちゅうになって、また、何本もマッチをすって、箱の数をかぞえはじめましたが、めちゃくちゃにつみかさねてあるのですから、とてもほんとうの数はわかりません。
「よそう。こんなことをしていたらマッチがなくなってしまうよ。それよりぼくらは、このほら穴を出ることを考えなけりゃいけないんだ。いくら金貨を見つけても、そとに出られなかったら、なんにもなりゃしない。」
 小林君は、ふとそれに気づいて、マッチをすることをやめてしまいました。ほんとうにそうです。せっかく宝ものを見つけても、宝ものといっしょに、うえ死にをしてしまうのでは、なんのかいもありません。
「そうだね。おとうさんや明智さん、どこにいるんだろうなあ。」
 不二夫君も、がっかりしたような声で、さびしそうにいいました。
 また、もとの墨を流したようなくらやみでした。ふたりはそのやみの中に、立ちすくんだまま、もう口をきく元気もなく、だまりこんでいました。「もしこの地の底の迷路から、いつまでも出ることができないとしたら……。」それを考えますと、金貨を見つけた喜びも、どこかへふっとんでしまうのです。
 ところが、ふたりがそうして、だまりこんで立ちつくしていたときに、とつぜんどこからか、チラッとまるでいなびかりのような強い光が、むこうの岩壁をてらしたのです。
 ふたりは、ハッとして、思わずからだをすりよせ、手をにぎりあいました。あまりの不意うちに、ものをいうこともできないほど、びっくりしたのです。
 すると、またしても、ちらちらと、青白い光ものが、岩壁をつたって走りました。
「アッ。わかった。あれは懐中電灯の光だよ。」
 小林少年が、不二夫君の手をぐっと引きよせて、ささやきました。
「あ、そうだ。懐中電灯だ。じゃ、もしかしたら……。」
 不二夫君も胸をわくわくさせながら、ささやきかえしました。
 それはふたりが考えたとおり懐中電灯の光だったのです。その広いほら穴のむこうがわの入り口から、何者かが懐中電灯をてらしながら、近づいてきたのです。
 不二夫君は、とっさに、その懐中電灯の主が、おとうさんの宮瀬氏と明智探偵ではないかと考えました。小林少年も同じ思いです。「おりもおり、ちょうど、宝ものを見つけたところへ、ふたりのおとなが来あわせるなんて、なんというしあわせだろう。」と、うれしさに胸をドキドキさせて、そのほうへかけだそうとしました。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: