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大金块-蒙面首领

时间: 2021-10-30    进入日语论坛
核心提示:覆面の首領 ところが、今、かけだそうと身がまえした二少年の耳に、みょうな声が聞こえてきました。まったく思いもよらぬ、聞き
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覆面の首領


 ところが、今、かけだそうと身がまえした二少年の耳に、みょうな声が聞こえてきました。まったく思いもよらぬ、聞きなれない声なのです。
「へへへへへへ、うまくいったね。四人のやつら、今ごろは道にまよって、べそをかいているだろうぜ。」
「そうよ。運の悪いやつらだ。宝ものが、こんな手ぢかなところに、かくしてあるとは知らないで、別の穴へまよいこんでしまったんだからね。さすがの名探偵も、こんどこそは運のつきだろうぜ。道しるべのひもを切られてしまっちゃ、とてもあの穴を出られっこはないんだからね。フフフフフフ、ざまあ見るがいい。」
「だが、こんなにうまくいこうとは思わなかったね。やつらのあとをつけて、このほら穴へしのびこんで、ひょいと別の枝道へはいってみると、たちまち千両箱の山にぶつかったんだからねえ。神さまが、おれたちのほうに味方していてくださるんだね。」
「ハハハハハハハ、神さまでなくって、この岩屋島に住んでいる鬼のご利益(りやく)かもしれない。なんにしても首領の運のつよいのにはおどろくよ。」
 そんなことを、ガヤガヤしゃべりながら、近づいてきたのは、ひとりやふたりではなくて、どうやら四、五人のあらくれ男らしいのです。
 二少年はこの会話を聞いて、ハッと身をすくめました。味方とばかり思っていたのが、そうではなくて、おそろしい敵とわかったからです。
 話のようすでは、大金塊を横どりしようとして、四人の探検隊のあとをつけてきたらしく、道しるべのひもを切ったのも、こいつらのしわざだったのです。四人がちがう枝道へまよいこんでいるあいだに、こいつらは悪運つよくも、正しい道をさがしあてて、とっくに宝ものを見つけていたのです。そして千両箱を外へはこびだすために、人数をそろえてもどってきたのにちがいありません。
 なんにしても、こいつらに見つかってはたいへんです。明智探偵のなかまと知れたら、どんなひどいめにあわされるか、知れたものではないからです。
 小林少年は、ものをもいわず、不二夫君の手をひっぱって、もとのせまい穴へ逃げこみました。そのせまい穴には海の水が流れこんでいて、奥へ行くほど深くなるのですが、そんなことにかまってはいられません。ふたりは、またしても、ひざのへんまであるつめたい水の中へ、はいっていかなければなりませんでした。
 そして、その穴の奥から、そっとのぞいて見ますと、あらくれ男たちは、もう千両箱の山の前にひとかたまりになっていて、これから、それをはこびだそうとしているところでした。
 かぞえてみれば、男たちは五人づれであることがわかりました。みな、力の強そうなおそろしい顔つきの大男の中に、ひとりだけ少し小がらな、みょうなまっ黒な服装をした人物がまじっていました。どうやらそれが悪者どもの首領らしいのです。
 やがて、ひとりの男が身動きするひょうしに、その男の手にしていた懐中電灯が、首領らしい小男の顔をてらしました。
 すると、その光の中へ、人間の顔ではなくて、なんともえたいの知れないみょうなものがあらわれたのです。まっ黒な化け物です。目と口のところだけが、三つの穴のように白くなって、そのほかは、耳も鼻もなにもないまっ黒な顔をしているのです。
 小林君はそれを見て、ギョッとしましたが、しばらくすると、その小男が、お化けよりも、もっとおそろしいやつであることがわかりました。
 そいつは、まっ黒な顔ではなくて、黒布で覆面していたのです。黒布の目と口のところだけがくりぬいてあったのです。
 読者諸君も、もうおわかりでしょう。それは女だったのです。このお話のはじめのほうで、小林君を地下室にとじこめた悪者たちの女首領だったのです。ロシア人の着るルパシカに似た黒服といい、覆面のかっこうといい、あの地下室の女首領とそっくりだったのです。
 ああ、なんという執念ぶかい悪者でしょう。大金塊のかくし場所をしるした暗号がぬすみだせなかったものですから、こんどは手をかえて、はるばる東京から、四人の探検隊のあとをつけてきたのです。そして、明智探偵がかくし場所を見つけるのを待ちかまえていて、大金塊を横どりしようとたくらんだのです。
 小林君はそれと気づくと、賊のあまりの執念ぶかさにゾウッとしないではいられませんでした。なんだかおそろしい夢でもみているようで、目の前のできごとが、ほんとうとは思えないほどでした。
「よっこらしょっと、こりゃあ重いや。あの船では、これだけの箱を、とても一度には、運べませんね。」
 ひとりの男が、千両箱を肩にかついで、首領に話しかけました。
「うん、まあ三分の一だろうね。船で、れいのところまで運んでおいて、また引っかえしてくるんだ。なにしろ一億円なんだからね。どんなに骨をおったって、骨おりがいがあるというものだ。おまえたちもみんな、きょうから大金持ちになれるんだぜ。」
 覆面の首領が男の声で、部下の男たちをはげましました。首領が女だということは、部下のものは、まだ知らないようです。その秘密を知っているのは、広い世界で、小林少年たったひとりなのかもしれません。
「フフフフフフ、おれたちが、みんな百万長者か。なんだか夢みたいだね。」
「夢ならばさめてくれるな。フフ、世の中がおもしろくなってきたぞ。ねえ、首領、おれたちはずいぶん悪いこともはたらいてきたが、こんなでかい仕事は、あとにもさきにもはじめてですね。」
「おいおい、喜んでいないで、早く運ぶんだ。これをすっかりかたづけてしまうまでは、安心ができない。どんなじゃまがはいらないともかぎらないからね。」
 むだ口をききながら、男たちは一つずつ千両箱をかついで、ほら穴を出ていきました。覆面の首領は、懐中電灯を持って部下のものを見はるようにしながら、いちばんうしろから歩いていきます。
 やがて、賊の話し声や足音も聞こえなくなり、懐中電灯の光も消えてしまうと、ほら穴の中は、またもとの、めくらになったかと思うような暗さでした。
 話のようすでは、悪者たちは、岩屋島のどこかへ船をつけて、こっそり上陸したものにちがいありません。今の千両箱をその船へ運んで、また引きかえしてくるのでしょう。そうして、ほら穴と船とのあいだを、なんども行ったり来たりして、つめるだけつみこもうというのでしょう。
 小林少年は、賊が立ちさるのを見すまして、不二夫君に、ことのしさいを話して聞かせました。そして、手を引きあって、かくれ場所を出ましたが、苦心に苦心をかさねて、やっと目的の宝ものを見つけたと思ったら、たちまち賊のために横どりされてしまうなんて、じつになんともいえないくやしさでした。
 といって、相手はおおぜいなのですから、ふたりの子どもの力では、どう手むかうことができましょう。ああ、こんなときに明智先生がいてくださったら、と思うと、小林君も不二夫君もざんねんでたまりません。どうしてこんなに運が悪いのかと、泣きだしたくなるほどでした。
「でも、ここにじっとしていたってしかたがないよ。あいつらのあとをつけて、ようすを見てやろうじゃないか。そうすれば、何かいい知恵がうかぶかもしれないよ。」
「うん、そうしよう。さっきの話では、ほら穴の入り口は、じき近くにあるらしいね。」
 ふたりはそんなことをささやきあって、マッチをすって、方角を見さだめておいて、用心ぶかく、賊のあとを追いました。
 ほら穴は、右や左にまがりながら、進むにしたがってせまくなり、しまいには立って歩けないほどになりましたが、そのせまいところをはうようにして、ぬけだしますと、少し広い道になり、どこからか、かすかに光がさして、あたりが、ほの明かるくなっているのに気づきました。
「あ、きみ、もう入り口が近いんだよ。ほら穴の入り口から光がさしているんだよ。」
 外はまだ、昼間なのですから、これからさきへはうっかり進めません。もし賊に見つかったら、それこそどんなめにあうかもしれないからです。
「きみ、見たまえ、ここで道が二つにわかれている。ここが最初の枝道なんだよ。ぼくたちは、あっちのほうの広い道へはいっていったものだから、あんなめにあったんだよ。あのときもし、こちらのせまい道へ進んでいたら、賊よりもさきに、ぼくたちが金貨を発見したんだぜ。ざんねんなことをしたなあ。」
「あ、そうだ。それじゃ、ぼくたちは、ぐるっとひとまわりして、もとにもどったんだね。」
 ふたりは、そこの岩の形に見おぼえがありました。考えてみれば、この枝道を右へ行くか左へ行くかの、ほんのちょっとしたちがいから、とんでもないことになってしまったのでした。
「もう少し入り口のほうへ行ってみようよ。」
 不二夫君はそういって、うすい光のさしてくるほうへ歩きはじめました。小林君もそのあとにつづきます。地上の明るい世界がなつかしくてたまらなかったのです。
 ところが、そうしてふたりが五、六歩歩いたときでした。とつぜんうしろのくらやみから、パッと青白い光がさしてきました。みょうな光が両がわの岩にちらちらと動くのを見て、ふたりはびっくりして、うしろをふりむきました。
 すると、まっくらなほら穴の奥のほうから、怪物の目のように、ぎらぎら光ったものが、こちらへ近づいてくるではありませんか。懐中電灯なのです。何者かが懐中電灯をてらして、広いほうの枝道の中から出てくるのです。
 二少年は、それを見ますと、ギョッとしてそこに立ちすくんだまま、もう身動きもできなくなってしまいました。
 賊の部下にちがいありません。あの覆面の首領はぬかりなく、こんなところに見はり番をのこしておいたのでしょう。それを知らず、のこのこと近づくまで出てきたのは、じつに不覚(ふかく)でした。もうかくれる場所も逃げる道もありません。
 ああ、ふたりは、とうとう悪者のためにつかまってしまうのでしょうか。やっと水の(なん)をのがれたと思ったら、またしてもこんなおそろしいめにあうなんて、なんという運の悪さでしょう。それにしても、神さまは正しいものを見すてて、悪人の味方についておしまいなすったのでしょうか。そんなことがあってもいいものでしょうか。それでは小林君や不二夫少年が、あんまりかわいそうではありませんか。

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