日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

地狱风景-地上万花筒

时间: 2021-10-16    进入日语论坛
核心提示:地上万華鏡(ばんかきょう) 小山から見下したジロ楽園は、狂人の油絵であった。あらゆる形状、あらゆる色彩がぶちまけられ、それ
(单词翻译:双击或拖选)

地上万華鏡(ばんかきょう)


 小山から見下したジロ楽園は、狂人の油絵であった。あらゆる形状、あらゆる色彩がぶちまけられ、それが目まぐるしく活動していた。べら棒に巨大な万華鏡を絶え間なくグルグル廻している様な、恐ろしくも美しい光景であった。
 軽気球が二つ、奇妙なお日様とお月様の様に、場内の東西の空に(かか)って、そこから、五色のテープが美しい雨と降り注いでいた。
 花火の筒は絶間(たえま)もなく音を立てて、尺余の紙玉が中空に炸裂し、五色に染めた紙の雪が、さんさんと降りしきっていた。
 その中に、赤ペンキで塗られた巨大な観覧車が、大人(だいにん)国の風車(かざぐるま)の様に、グルグル廻り、浅草の十二階めいた摩天閣からは、場内の四方に万国旗が張りめぐらされ、その窓々には、真赤な旗が、首を出して、ユラリユラリと、火焔(かえん)の様に燃えていた。
 パノラマの丸屋根は、赤と青との原色で、子供のおもちゃみたいに塗りつぶされ、木立の彼方にチラチラ見える、巨大な紫色のものは、例のコンクリート造りの大鯨であった。
 地底では、水族館の魚共と地獄極楽の生人形が、又夫々の痴態で踊り狂っているのだ。
 そして、それらの目まぐるしき形と色の外に、花火の音を太鼓にして、ジロ楽園全体をゆるがす様な音楽が、耳も(ろう)せんばかりに鳴り響いていた。
 彼方の丘の麓、森の蔭、此方(こなた)の建物の窓、池のほとり、或は数人、十数人、毒茸(どくたけ)の群がり生えた様に、赤、黄、青、色とりどりの楽隊さんが、ジンタジンタと、その音も懐しき廃頽(はいたい)の曲を、空にも響けと合奏しているのだ。
 南京玉の道化衣裳を着た三人の客は、丘の上から遙かの地上へとうねっている線路の上を、舟の様な辷り台に乗って、ウォーターシュートの速力で、アレヨアレヨと辷り始めた。
 空中の舟は、降りしきる五色の雪の中を、鳴り響く楽の()に乗って、横転、逆転、木の葉返し、息も止まるばかり、走り、辷り、とんぼ返りを打って、突進した。金と銀との南京玉の衣裳が、それから婦人客の髪の毛が、一直線にうしろになびいた。
「苦しいッ、助けてエ」
 悲鳴は風に吹き飛ばされて、舟は数瞬にして、線路の終点に達した。そして、バッタリ停止すると、客達は、はずみを食って、下なる砂地へ投げ出される。金銀の三つの(まり)が砂まみれだ。
「これはよくこそお出で下さいました。お待ち申していましたよ」
 ヒョイト気がつくと、三人の客を一人一人抱き起して砂を払ってくれているのは、園主喜多川治良右衛門であった。
「ごらん下さい。これがジロ楽園の射的場です。今にお客様が揃いましたら、皆さんに、このキルク玉を撃って頂きます。的は向うの丘の上の人形達ですよ」
 そこには、車のついた大きな、併し旧式な大砲が一門、五色に塗りつぶして、カムフラージュをして、ドッカリと据えてあった。
 大砲の側には、例のお団子のキルク玉の山だ。そして、向うの丘には、白い空を背景にして、十体ばかりの道化人形が、ヒョコンヒョコンと立並(たちなら)んでいる。
「ホホウ、これは御趣向ですね。このフットボールの化物みたいなキルク玉で、あの案山子(かかし)人形を撃ち倒すという訳ですね。そこで、御褒美は一体何です。浅草公園の射的場では、バットと朝日と敷島を呉れる様ですが」
 年長紳士がおどけた顔で尋ねた。
「御褒美? ハハハ、あなたは仲々抜目(ぬけめ)がありませんね。あります、すばらしいご褒美が。実にすばらしいご褒美が」
 治良右衛門は、妙なことに、お巡りさんの制服を一着に及んで、八文字(はちもんじ)の立派なつけ(ひげ)をつけていた。それが、やさしい接待係りの声で客に物を云っているのが、一種気違めいた感じを与えるのだ。
 間もなく第二、第三の空中船が、次々とウォーターシュートを辷り落て、砂まみれのお客さまが、十人、二十人と集まって来た。
 彼等は皆道化服と着換えさせられていたが、それが三人、五人一組ずつ、夫々違った色と形をしているのだ。
 あるものは、五色の紙で出来た、おもちゃの(よろい)を、あるものは、全身すき通って見える薄い薄い(しゃ)(ころも)を、あるものは、ハワイ土人の棕櫚(しゅろ)の腰巻きばかりを、あるものはグット意気なモダーン水着を、その他種々雑多の、安っぽい、けばけばしい、併し無邪気な仮装に包まれていた。
 そのむき出しのお乳と、すき通るお尻の、半裸体の男女の中に、たった一人丈け、異端者の様に、不気味な扮装の男が混っていた。彼はうす汚れた手拭で鼻の先に(ほおかむ)りをして、(こまか)碁盤縞(ごばんじま)の日本キモノに三尺帯、そのお尻をはしょって、ふところには、九寸五分が覗いていようという趣向である。
「ヤア木島さん、考えましたね。刑事巡査が泥棒に変装なさるとは、ずば抜けていますね」
 巡査の制服を着た治良右衛門が、帯剣をガチャガチャ云わせながら、木島刑事の肩を叩いた。知らぬものが見たら、本当のお巡りさんが、本当の泥棒を捕えている光景であった。
「ハハハハハハ、お気に(めし)ましたか。カーニバル祭にふさわしい様にと、これでも智恵を絞ったのです。……併し、喜多川さん、あなたの扮装も、仲々思い切っているではありませんか。僕のお株をとってしまいましたね」
「サア、お逃げなさい。僕追っかけますから。()(もの)ごっこをしましょう。ハハハハハハ」
 お巡りさんの治良右衛門が冗談を云った。
 広場では十数人の招待客が、キルク玉の大砲を取囲んで、物珍しげに眺めていた。
「どなたか、射的をなさる方はありませんか、このキルク玉で、向うの道化人形を撃倒(うちたお)した方には、すばらしいご褒美が出るんですよ」
 お巡りさんの治良右衛門が、愛想笑いをしながら、勧めた。
「僕に撃たせて下さい。僕は東京の浅草公園では、射的場のお嬢さんが、顔をしかめる程の名射撃手なんです」
 一人の紳士が進み出て、大砲のうしろに廻った。
弾丸(たま)はちゃんとこめてあります。どうか、狙いを定めて、その綱を引いて下さい」
 紳士は射的場の空気銃と同じ様に、大砲の砲身に眼を当てて、向うの丘の右の端の人形に狙いを定め、発射の綱を引くと同時に、ドカンと尻餅をついた。発射の反動で、大砲がグイとうしろへ動いたからだ。
 大砲の口を飛び出したフットボールのキルク玉は、目に見える早さで、ヨロヨロと飛んで行った。そして、右端(みぎはし)の人形の胸の(あたり)に、コツンとぶつかった。
 人形は、玉が当ると、二本の足を(そら)ざまにして、ひっくりかえって、丘の向うへ見えなくなったが、それと同時に、人形の立っていたあたりから、突然、何百という五色のゴム風船が、まるで今撃ち殺された人形の魂ででもある様に、パッと大空に群がり昇った。そして、大砲の命中を祝福する花火がドカンとうち上げられ、バリバリと雲間に音がして、五色の雪が、一際(ひときわ)烈しく降りしきった。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: