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地狱风景-大迷宫

时间: 2021-10-14    进入日语论坛
核心提示:大迷路 それらの建造物の中で、ジロ氏が最も力をこめ、又園内第一の怪奇物に相違ないものは、樹木をビッシリ植え並べ、一度這入
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大迷路


 それらの建造物の中で、ジロ氏が最も力をこめ、又園内第一の怪奇物に相違ないものは、樹木をビッシリ植え並べ、一度這入(はい)ったら、迷い迷って、一時間や二時間では到底出口の見つからぬ、迷路の作り物であった。
 絵に書いた迷路なら、鉛筆でたどって行けば、訳もなく中心に達し、また入口に戻ることも出来ようが、本物の迷路となると、見世物(みせもの)の「八幡の籔知(やぶし)らず」でさえ、迷い込んだらちょっと出られぬものだ。
 それを、迷う様に、迷う様にと、考えに考えて設計し、少しも隙間(すきま)のない、高い樹木の壁で通路を作り、面積は僅か一丁四方程の中に、一里に余る迂余曲折の細道を作ってあるのだから、世界迷路史に通暁(つうぎょう)せる達人と(いえど)も、その中心を(きわ)め、再び入口に引返すことは難中の難事である。
 音に聞くハンプトンコートの扇形(せんけい)迷路、ヴェルサイユ宮殿の方形迷路、なども、遠くこれには及ばず、()いて比類(ひるい)を求めるならば、歴史家の雄大なる幻想として残っている、古代エジプトの大ラビリンスであろうか。上下(じょうか)三千の部屋からなっていたという、あのべら(ぼう)な規模には比肩(ひけん)すべくもないけれど、その設計の理智的な複雑さに(おい)ては、(むし)ろジロ娯楽園の迷路に団扇(うちわ)を上げなければならぬであろう。
 さて、この怪奇物語は、右の難解なる迷路の中で行われた、いとも不可思議なる殺人事件を発端とするのであるが、その殺人事件に話を進める前に、一応登場人物のお目見えをさせて置かねばなるまい。
 時は初夏、青々と奥底知れず澄み渡った大空に、一沫(いちまつ)の雲もなく、太陽は娯楽園の山々谷々、奇怪なる建築物の数々を、白と黒とのクッキリした陰影に染め為して、その全景を、立昇る陽炎(かげろう)と共に、鏡の青空へそのまま投影させているかに見えた。
 開園当時の、招待客雑沓(ざっとう)時代が過ぎて、ジロ楽園は、本当の仲間内()けの、気兼(きが)ねのない遊楽地となっていた。
 もう客案内をする用のない悪魔姿の船頭は、ゴンドラ舟を陸上げして、(しい)の木蔭に昼寝をしていた。(したが)って、園の出入口は、全く交通を途絶(とぜつ)せられ、園内にさ迷い()邪魔者(じゃまもの)を気に掛ける必要もなく、猟奇の同人(どうにん)達は思うがままに遊び狂うことが出来るのだ。
 その同人というのは、園主の喜多川治良右衛門を初めとして、()の悪友男女の一群であった。

木下鮎子(きのしたあゆこ)――治良右衛門の恋人、二十歳、急流の鮎の様にピチピチと快活な娘。

諸口(もろぐち)ちま()――治良右衛門のもう一人の恋人、二十一歳、ロマンティクな女詩人にして女画家、楽園の設計をも手伝った才能ある娘。

大野雷蔵(おおのらいぞう)――治良右衛門の少年時代よりの親友、三十五歳、世に()れられぬ劇作家、怪奇なる幻想家。

人見折枝(ひとみおりえ)――雷蔵の恋人、十九歳、けしの花の様に美しく無邪気な資産家令嬢。

湯本譲次(ゆもとじょうじ)――治良右衛門の友人、婦女誘拐の前科者、あらゆる猟奇的嗜好(しこう)を有する不良型、二十九歳。

原田麗子(はらだれいこ)――湯本の恋人、湯本の恐ろしき打擲(ちょうちゃく)に甘んじ、寧ろそれを喜んでいるかに見える猟奇娘、二十三歳の大柄な豊満娘。

三谷二郎(みたにじろう)――十六歳の人形みたいな美少年、やや不良、同人達のペット。

 その他悪友男女十数人、この物語には端役(はやく)の人々(ゆえ)、ここに名を(しる)さず、必要に応じて紹介する。外に、娯楽建造物の運転係、掃除係、案内係、楽師等傭人(やといにん)数十名、これも必要に応じて紹介することにするが、中に一人()の人物は最も注意すべきである。

餌差宗助(えさしそうすけ)――ひどいせむしで一寸法師、十四五歳の子供の胴体に、でっかい大人の顔が乗っかっている。青年だか老人だか、一見年齢不明の怪物、治良右衛門の秘書兼園内総監督の要職を(つと)む、イソップの如き智恵者。

 人名羅列(られつ)叙景が中断されたが、先に云った初夏、青空に雲なき一日のことである。事件の起る一時間程前、右の主要人物達は、園内の天然プール(前述の小川が流れ込む池のことだ)に集まって、全裸のほしいままなる遊戯にふけっていた。
「サア、用意は出来て? 飛込むわよ」
 人見折枝の無邪気な甲高声(かんだかごえ)が、天然岩の飛込台から、ほがらかに青空に響いた。彼女は岩の上で、両手を頭上に揃えて、今や池中目がけて飛込まん姿勢である。青黒い岩上に、クッキリ白い肉塊、肩に垂れた結ばぬ黒髪、名画「巖の処女」である。
「いいよウ、早く飛び込みなよウ」
 誰かが水の中から答えた。鮎子、治良右衛門、ちま子、雷蔵、麗子、譲次、二郎の順で、お(たがい)に前の者の(もも)に手をかけてつながったまま浮かんでいる。たくましき男性筋肉と、なよやかな女性肉塊の、だんだら珠数(じゅず)つなぎがウネウネと海蛇(かいだ)の様に蠢き漂うのだ。
「ホーラ!」
 空に声を残して、折枝の肉塊が(まり)の様にクルクル廻転しながら、バチャンと水煙を立てた。
 底までもぐって、スーイと浮かんで、頭を出すと、丁度蛇の頭の鮎子の前だ。鮎子が右に左に通せんぼうをするのを、(たくみ)にかい(くぐ)って、尻尾(しっぽ)の二郎美少年を(つか)まえる遊戯だ。陸上の「子を取ろ、子取ろ」である。
 巨大なる海蛇は、クルリクルリと全身を波うたせて、尻尾を(つか)まれまいと、(あるい)は浮び、或は沈み、水面から池底へ、池底から水面へと、美しき肉塊の魚紋を描いて、なまめかしくも、のたうち廻る。
 令嬢折枝は、水中蛇退治の女勇士だ。敵の通せんぼうをかい潜りかい潜り、立泳ぎ、(かえる)泳ぎ、抜き手、片抜手、美しき筋肉運動の限りを尽して、美少年のお尻へと追い(すが)る。
 岸には見物の男女が、これも裸体の肩を組み、手を握り合って、笑い興じながらこの有様を眺めている。
 野外、水中舞踊の一幕(ひとまく)だ。
 遂に、二郎少年は折枝の為に足を掴まれて、ブクブクと水中に沈んだ。折枝は掴んだ足を離さじと、敵と共にこれも水面から消えて行く。
 美しき少年少女が、水底の物狂わしき掴み合い、その有様が、透き通る水を通して、奇怪に(ゆが)んで、見物達にも見えるのだ。
「ワーッ、ワーッ」というときの声、尻尾を奪われた蛇は、もうバラバラに離れて泳ぎながら、彼等も水底の活劇を眺めている。
 勝負はついた。二郎少年は息が尽きて、とうとう降参してしまった。
「サア、今度は二郎さんが鬼よ」水面に浮き上った折枝が、息を切らしながら、叫んだ。
「イヤ、もう()そう。何も二郎君をかばう訳じゃないけれど、僕はもう疲れた。例の天上のベッドで一休みだ」
 治良右衛門は、云いながら、もう上陸して、サッサと山の向うへ歩いて行く。天上のベッドとは、観覧車の空にかかった箱の中のクッションを意味するのだ。彼はこの不思議な寝室で、大空に眠る習慣になっていたのだ。
「あたしもよすわ。これから、あたしの夢殿(ゆめどの)へ行って、美しい夢でも見ることにしましょう」
 と、諸口ちま子が続いて上陸した。彼女の夢殿というのは、例の迷路の中心の所謂(いわゆる)「奥の院」という場所に据えてあるベンチのことで、そこに腰かけて、一人ぼっちになって、静かに瞑想に(ふけ)ろうという訳なのだ。
「じゃあ、みんな、メリーゴーラウンドへ行かない。あすこで、もう一騒ぎ騒ぎましょうよ」
 麗子が音頭をとると、残る一同それに賛成して、裸体のまま、赤と白との男女が一団を為して小山へと駈け(あが)って行った。例の(すべ)り道を横転逆転しながら、(つばめ)の様に(さえず)りながら、目的の場所へと急ぐことであろう。

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