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恐怖王-在黑暗中奔跑的怪兽(1)

时间: 2021-08-29    进入日语论坛
核心提示:闇を走る怪獣「恐怖王」と自称する怪賊の正体は、少しも分っていない。 読者は嘗つて、布引照子のに奇妙なお化粧を施した一人物
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闇を走る怪獣
 
「恐怖王」と自称する怪賊の正体は、少しも分っていない。
 読者は嘗つて、布引照子のに奇妙なお化粧を施した一人物を知っている。それは黒い洋服を着た、青白い顔の小柄の男で、美術家の様にフサフサした長髪を肩のまで垂れていた。若しかしたら、あの男こそ「恐怖王」その人ではなかったか。彼が相棒のゴリラ男に、部下に対する様な口を利いていた所を見ると、どうやらこの想像は当っていそうだ。併し、あの長髪の怪人物は、その一度も我々の前に姿を見せぬ。
 ただ我々が知っているのは、賊の部下に相違ないゴリラ男の奇怪なる行動ばかりだ。は伯爵令嬢花園京子を、不思議なやり方で殺害した。殺害したばかりではない。その死骸を小脇にて、いずくともなく逃げ去った。
 ゴリラ男はどこへ行ったか。花園京子の死骸はどうなったか。無論警察では手を尽して捜索したのだけれど、その晩は勿論、翌日になっても、賊のは全く分らなかった。ところが、その夜になって、実に不思議なことが起った。気でも違った様な変てこなことが起った。
 というのは、事件が起ってから、殆ど一昼夜を経過した、翌晩になって、やっぱりあの時と同じ様に、京子さんの死骸をて走っているゴリラ男が発見されたのだ。何ということだ。彼は二十時間以上も、死骸を抱て、東京の町をさ迷っていたのであろうか。
 その夜十一時頃、Kという警視庁捜査課に属する私服刑事が、公園に近いある淋しい屋敷町を歩いていると、行手に当って、若い女らしい人間を小脇に抱て、エッチラオッチラ走っている、奇妙な人影を発見した。
「オイ、待て」
 と声をかけると、相手はギョッとして振向いたかと思うと、いきなり恐ろしい早さで駈けだしたが、そのチラと振向いた人物の顔は、どうも人間ではない。何か猿類に属する動物の様に感じられた。
 まさか猿が着物を着て走っている訳はないがと、K刑事は変な気持になったが、ヒョイと思い出したのは、「恐怖王」の一件だ。しかもその前晩、花園伯爵令嬢の死骸がさらわれた事実がある。さらった奴は、そうそう、ゴリラとあだなを取った「恐怖王」の手下であった。さては、あいつゴリラ男だな。そして、小脇に抱ているのは伯爵令嬢だな。
「しめた! 大物だぞ」
 刑事は、勇躍して怪物の跡を追った。
 人通りもない淋しい町だ。追うものも逃げるものも、何のもなく思う存分駈けることが出来た。町角を曲り曲り、五六丁程、不思議な駈けっこが続けられた。彼等は二つの黒い塊りになって、風を切って走った。
 いくらゴリラでも重い荷物を持っていては、そうそう走れるものではない。二人の距離は段々せばめられて行った。
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