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恐怖王-在黑暗中奔跑的怪兽(2)

时间: 2021-08-29    进入日语论坛
核心提示: このまま走っていては、瞬く内につかまるに極っている。何とかしなければならない。ゴリラ男は決心した。大事な獲物を捨てて我
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 このまま走っていては、瞬く内につかまるに極っている。何とかしなければならない。ゴリラ男は決心した。大事な獲物を捨てて我身の安全を計る決心をした。
「エエ、これがけりゃくれてやらあ」
 彼は憎々しく怒鳴りながら、抱ていた死骸を地上に投げつけて更に走り続けた。
 刑事は、このちにちょっとたじろいた。令嬢の死骸に目もくれず、追跡を続けるが利かなんだ。彼は思わず投げ出された死骸の前に立止った。
 ゴリラ男はその隙に、十間程も逃げのびることが出来た。若し、その時、彼の前方から、あの巡査がやって来なかったら、まんまと逃げおおせたかも知れない。だが、けながら刑事の吹き鳴らしたのがあった。それを聞きつけた一人の警官が、丁度その時、賊の前面に現われたのだ。如何な乱暴者も、走り疲れた所へ、に敵を受けてはかなわぬ。烈しい格闘の末、ゴリラとうとう捕縛されてしまった。
 二人の警官は、賊の繩尻を取って、令嬢の死骸の倒れている場所へ引返した。
「君、今も云う通りこいつは恐怖王の手下のゴリラに違いない。この死骸を抱て走っていたのだからね。これは君、花園伯爵の令嬢だぜ」
 K刑事が説明した。彼等は見知り越しの間柄だ。
「フム、そうか、昨夜の一件だね。こいつはでっかい捕物だぞ」
 二人は思わぬ功名にホクホクしながら、地上の死骸を覗き込んだ。街燈の光がボンヤリと、女の洋装を照らしている。
「違いない。この服装の様子では、確に伯爵令嬢だぜ」
「ヤ、美しい顔をしている。まるで人形みたいだぜ」
 警官達のした声に混って、クスクスと忍び笑いが聞えた。
「オヤ、誰だ、今笑ったのは。貴様だな、コラ、お前何がおかしいのだ」
 K刑事は、繩尻をグイと引いて、ゴリラ男を叱りつけた。
 賊は叱られても、まだニヤニヤ笑っている様子だったが、別に口答えはしなかった。
「待ってくれ、オイ、変だぜ」
 死骸を覗き込んでいた警官が、頓狂な調子で云った。
「どうしたんだ」
「人形みたいな美しいお嬢さんだと思ったら、これは君、本当に人形だぜ。ホラ見給え、顔を叩くとコチコチ音がする」
 全くそれは人形に相違なかった。洋服屋のショウ・ウインドウに立っているマネキン人形だ。
「ワハハハ……」
 突然、ゴリラ男のな笑声が爆発した。だが、笑われてもがない。飾り人形を本物の女の死体と思い込んで、目の色変えて追駈けたんだから、どうにも引込みがつかない。
 併し待てよ。この夜更けに、マネキン人形を抱て走っているのも変だし、それに、泥棒でもなければ、何も逃げ出す事はない筈だ。オヤオヤ、するとこいつは人形泥棒だったのか。
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