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奇面城的秘密-秘密会议

时间: 2021-12-28    进入日语论坛
核心提示:秘密会議 チンピラ隊のポケット小僧は、まっ暗な街道を、一時間あまりもてくてく歩いて、やっと大きな町にたどりつきました。そ
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秘密会議


 チンピラ隊のポケット小僧は、まっ暗な街道を、一時間あまりもてくてく歩いて、やっと大きな町にたどりつきました。それは埼玉(さいたま)県のT町だったのです。
 ポケット小僧は、T町の駅の長いすの上で一夜をあかし、あくる朝の汽車で東京に帰りました。三百円ほどもっていたので、やっと汽車のきっぷが買えたのです。
 東京につくと、すぐに明智探偵事務所へいって、明智先生と小林団長にあい、くわしく報告しました。
「わあ、えらいぞ、ポケット小僧。たいへんなてがらをたてたねえ。」
 小林少年が、おもわず歓声(かんせい)をあげました。
 明智探偵も、ポケット小僧の頭をなでながら、
「どんなおとなもおよばない大てがらだよ。四十面相のほんとうのかくれ家、奇面城なんて、長いあいだだれも知らなかった。ぼくも、まったく気づかないでいた。それをきみが、ひとりの力で、発見したんだからね。きっと警視総監からごほうびが出るよ。
 よし、これからすぐに警視庁へいこう。そして、総監にこのことを報告して、どうして奇面城をせめるか、その方法を相談しよう。」
 明智探偵はそういって、卓上電話の受話機をとると、警視庁の中村警部をよび出し、総監にこのことをつたえてくれるようにたのみました。すると、総監も捜査課長も待っているからという返事があったので、そのまま自動車をよんで、ポケット小僧をつれて、警視庁へいそぎました。
 それから二十分ほどして、警視庁の総監室には、大机(おおつくえ)の正面に山本警視総監、その前に明智小五郎、堀口捜査一課長、中村警部が席につき、ポケット小僧も、明智探偵のとなりの大きないすに、ちょこんとこしかけて、しかつめらしい顔をしていました。
 山本総監は、四十面相がじぶんに化けて、警視庁をばかにしたことを、ひじょうにおこっていましたので、この事件にかぎって、総監室で秘密会議をひらくことにしたのです。
「きみがポケット小僧か。よくやってくれた。あとで、どっさりほうびをあげるよ。で、きみは、その奇面城がどこにあるのか、わかっているんだろうね。」
 総監が、ポケット小僧にたずねました。
「はい、それは奇面城にかくれているあいだに、四十面相の部下たちの話を立ちぎきしてわかりました。それはこぶし(だけ)という山です。その山の北がわの深い森の中に、あの恐ろしい顔の岩があるのです。」
 それをひきとって、明智探偵が説明しました。
甲武信岳(こぶしだけ)というのは、埼玉県と長野県の境にそびえている山です。そこから食料などを仕入れるのに、いちばん近い町は埼玉県のT町です。奇面城からT町へは、二日か三日にいちど、四十面相のヘリコプターが、かよっているらしいのです。ポケット小僧は、そのヘリコプターにかくれて逃げ出してきたのです。」
 すると、堀口捜査課長が、こともなげにいうのでした。
「武装した警官を一小隊ほどやって奇面城をかこませるんですな。奇面城の中には、四十面相も入れて十一人しかいないというから、武装警官一小隊でじゅうぶんでしょう。自動車のいけるところまでいって、それからは歩いてのぼるんですな。」
 それを聞くと、明智探偵はかぶりをふって、
「いや、それはあぶないですよ。奇面城のまわりには、見はりのものがいるにちがいない。警官隊が山をのぼっていったら、すぐに気づいて、じゅうぶん用意をする。あいつらはピストルや銃を持っているでしょうし、そのほか、どんな武器(ぶき)があるかわからない。それと正面からたたかっては、こちらにも、けが人を出します。正面しょうとつは、さけたほうがいいと思います。」
と反対をとなえました。
「ふん、なにか計略をもちいるというんだね。明智君、きみには、うまい計略が、あるのだろうね。」
 山本総監がたずねました。
 すると明智探偵は、いすを前にのり出し、大机にひじをついて、ひくい声で話しはじめるのでした。
「じつは、こういう計略を考えたのです。四十面相のヘリコプターが、たえずT町へやってくる。それをうまく利用するのですよ……。」
 明智探偵は、そこでいっそう声をひくくしましたので、総監をはじめ、捜査課長も中村警部も、ぐっと顔を前に出し、四人が頭をくっつけるようにして明智のないしょ話をききとりました。
「うん、おもしろい。明智君らしいやりかただ。ひじょうにむずかしいけれども、きみならできるかもしれない。やってみるだけのねうちはあるね。」
 総監は明智の話を聞いて、にこにこしながら賛成しました。
「それについて、中村君、きみの部下の三浦(みうら)刑事をかしてもらいたいんだがね。あの男は、警視庁第一の変装の名人だからね。」
 明智が中村警部にたのみますと、警部はこころよく承知しました。
「いいとも、三浦はたしかに変装がうまい。四十面相までいかなくても、十面相くらいのうでまえはあるよ。あの男がやくにたつなら、どうかつかってくれたまえ。」
 それから三十分ほど、こまかいうちあわせをしたあとで、この総監室の秘密会議はおわりました。山本警視総監はいすから立って、
「では明智君、きみからの、よい知らせを待つことにします。よろしくたのみますよ。」といって、明智探偵の手をにぎるのでした。

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