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奇面城的秘密-消失的警队

时间: 2021-12-28    进入日语论坛
核心提示:まぼろし警官隊 総監に化けた四十面相は、おどろいて逃げだしたでしょうか? いや、逃げようとしても逃げられるものではありま
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まぼろし警官隊


 総監に化けた四十面相は、おどろいて逃げだしたでしょうか? いや、逃げようとしても逃げられるものではありません。ここは警視庁の建物のまんなかなのです。かれは、ふてぶてしく笑いました。
「さすがは名探偵、よく見やぶった。だが、おれが四十面相だったら、どうしようというのだね。」
とおちつきはらっています。
「むろん、ひっとらえるのさ。手をあげろ!」
 明智のことばといっしょに、よこにいた中村警部が、サッとピストルをかまえました。警部は背広を着ていましたが、まんいちの用意に、ポケットにピストルをしのばせていたのです。
 捜査一課長は、いま出てきたばかりの総監室へかけこんで、部下のところへ電話をかけました。四十面相をとらえるために、警官隊をよこすようにめいじたのです。四十面相は両手をあげて、立ちおうじょうをしています。さすがの怪盗も、ピストルをつきつけられてはどうすることもできません。そのとき、廊下のむこうからどやどやと、おおぜいの制服警官がかけつけてきました。十人あまりの人数です。そして、四十面相のまわりをかこんで、ねじふせようとしました。
 警官がとりかこんだので、中村警部はピストルがうてなくなりました。うてば、みかたの警官をきずつけるからです。
 それがいけなかったのです。そのすきを見て、四十面相は、すばやく、じぶんのピストルを、ポケットからとりだし、いきなり、天井にむけてうちました。
 がらがらッとガラスのわれる音。たまは天井の電灯にあたって、ガラスがわれ、電灯は消えてしまいました。でも廊下にはいくつも電灯がついていますから、まだまっ暗ではありません。
 それから、恐ろしいたたかいがはじまりました。相手がピストルをうったので、警官たちもみなピストルを手にしました。
 ばん、ばん、ばんと、つづけざまのピストルの音。四十面相がうったのか、警官たちがうったのか、よくわかりません。しかし、音がするたびに、廊下の電灯が、つぎつぎとうちこわされ、あたりはまっ暗になってしまいました。
「うぬッ、つかまえたぞッ。おい、手をかしてくれ。手錠だ、手錠だッ!」
「なにを、これでもかッ!」
 ぱしッとなぐりつける音。二、三人のからだが廊下にころがって、くんずほぐれつ、とっくみあう音。
「アッ、逃げたぞッ。追っかけろ!」
「ちくしょう、逃がすものか。つかまえたぞッ。ここだ、ここだ。」
 警官たちは、四十面相ともつれあって、だんだん、廊下のむこうへ遠ざかっていきます。
 捜査一課長と中村警部は、物音をたよりに、それを追っていきましたが、廊下の電灯がみんな消えてしまっているので、なにがなんだかまるでようすがわかりません。
 やっと、廊下のまがりかどまでたどりつきましたが、そこからさきの廊下もまっ暗です。
 たちどまって耳をすますと、ふしぎなことに、あたりはしいんとしずまりかえっています。いままであんなにさわいでいた警官たちは、どこへいったのか、そのへんには人のけはいもないのです。
 そこへ、小林少年が懐中電灯を持ってかけつけてきました。その電灯で、廊下のさきのほうを照らしてみましたが、そこには、だれもいないことがわかりました。
 十余人の警官隊は、四十面相といっしょに、まぼろしのように消えうせてしまったのです。
 まがった廊下は一本道で、ほかにいくことはできません。どこかの部屋にはいったのかと、そのへんのドアを、ひとつひとつあけて、懐中電灯でしらべてみましたが、どの部屋も、まったく、からっぽなのです。
「アッ、しまった!」
 闇のなかから、明智探偵の声が聞こえたかとおもうと、明智らしい人かげが、廊下のむこうへ、とぶように走っていくではありませんか。
 捜査一課長や、中村警部には、なにがしまったのか、なぜ、明智探偵が走っていったのか、わけがわかりません。しかし、そこにつっ立っているわけにもいきませんので、明智のあとを追って、廊下のむこうへ歩いていきました。
 また、廊下をひとまがりしますと、むこうに電灯がついているので、あたりが見わけられるようになりました。
 見ると、明智探偵が、こちらへ歩いてきます。
「明智君、どうしたんだ。」
 中村警部がたずねますと、名探偵はがっかりしたような声で答えました。
「またやられた。あいつが、そこまで用意していようとは思わなかった。」
「エッ、すると、いまの警官たちは?」
「うん、みんな四十面相の部下だったのさ。
 新聞記者に化けたやつらが、警官の服を着たのかもしれない。それとも、べつの部下が、どこかにかくれていたのかもしれない。いずれにしても、にせ総監がつかまったら、かけつけてくる手はずになっていたのだ。そして、四十面相をつかまえるように見せかけて、じつは、助けだしてしまったのだ。廊下の電灯がわれたのも、それだまではなくて、暗くするために、かたっぱしから電灯をねらいうちにしたのだよ。」
 その廊下のはずれは、警視庁の裏門のところへ出ていました。かれらは、裏門からまっ暗な道路へ逃げだしてしまったのにちがいありません。
「ぼくは、裏口にいた警官たちにすぐ手配をして、追っかけるようにたのんでおいたが、あいつらは、門をでたら、ばらばらにわかれて、四方にちらばってしまっただろうから、とてもつかまるまい。ことに四十面相は、あんな変装の名人だから、またたくまにべつの人間に化けてしまったかもしれない。」
 ああ、なんということでしょう。大どろぼうが警視総監に化けたばかりか、その部下たちも警官に化けて、にせ総監をすくいだすなんて、じつに思いもよらないはなれわざです。さすがの明智探偵も、そこまでは考えていませんでした。
 四人が、ぼんやり顔を見あわせていますと、うしろのほうから、おおぜいのくつ音がして、八、九人の警官がぞろぞろとあらわれました。
 課長の電話で、総監室の前にかけつけた警官たちです。かれらがかけつけたときには、にせ警官隊は、廊下をまがってしまったあとだったのです。
 電灯が消えているので、なにがなんだかわけがわからず、まごまごしているうちに、時間がたって、やっといまごろ、ここへやってきたのです。
 中村警部は、じぶんたちも失敗したのですから、部下をしかるわけにもいかず、ともかくも、にせ総監のあとを追っかけるように命令するのでした。

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