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奇面城的秘密-巨人的脸

时间: 2021-12-28    进入日语论坛
核心提示:巨人の顔 ポケット小僧が、ふと目をさましますと、まだ部屋のなかは、まっ暗でした。そんなはずはない。ぐっすり寝たんだから、
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巨人の顔


 ポケット小僧が、ふと目をさましますと、まだ部屋のなかは、まっ暗でした。そんなはずはない。ぐっすり寝たんだから、もう夜があけているはずだと、ふしぎそうにあたりを見まわしていましたが、
「ああ、そうだ。この部屋には、窓がないのだ。」
と、やっとそこへ気がつきました。
 ドアのほうを見ると、ゆうべ立てかけておいた板きれは、そのままになっています。だれもこなかった証拠です。
 それにしても、おなかがぺこぺこです。ここにだって台所はあるだろうと思ったので、こっそり、なにかたべるものをさがすつもりで部屋をでました。
 廊下も、ゆうべとおなじ暗い電灯がついているだけで、すこしも日の光はさしておりません。
 奇面城というのは、岩でできているらしいから、ここは岩のなかの洞窟なんだなと思いました。
 ゆうべの美術館のドアをとおりこして、もっと奥へ進んでいきますと、どこからかおいしそうなにおいがしてきました。
「ははあ、肉をやいているな。きっと、こっちに台所があるにちがいないぞ。」
 鼻をぴくぴくさせながら、においのほうへ歩いていきますと、ドアがひらいていて、そこから、かすかに白いゆげのようなものが、ただよいだしています。
 ああ、ここだなと(おも)って、そっとのぞいてみますと、やっぱりそこが台所でした。白いコック帽をかぶった男が、しきりにビーフステーキをつくっているのです。
 ジュウジュウと肉のやける音、油っこいうまそうなにおい、はらぺこのポケット小僧は、よだれがたれてきそうでした。
 小僧は、ドアのかげにかくれて、しんぼうづよく、コックがどこかへ出ていくのを、待っていました。
 すると、二十分ほどたって、ビーフステーキをこしらえてしまうと、コックは、いそぎ足でドアのほうへやってきました。手洗いへでもいくのでしょう。
 小僧はびっくりして、いっそうふかくドアのかげに身をかくしましたが、なにしろポケット小僧といわれるほどからだが小さいので、こういうときにはべんりです。ドアのうしろで、ひらべったくなっていると、そこには人がかくれているなんて、すこしもわからないのです。
 コックがいってしまうと、小僧はすばやく台所のなかへはいって、できたてのビーフステーキひときれと、じゃがいもとパンを、そこにあったナプキンにつつみ、りすのように、すばしっこく逃げだしました。
 廊下を物置部屋のほうへいそいでいきますと、むこうにチラッと人かげが見えました。コックではありません。えびちゃ色のセーターをきた大きな男です。四十面相の部下でしょう。
 ポケット小僧は、いきなり台所のほうへかけもどって、また、もとのドアのうしろへ身をかくしました。
 大男はそれともしらず台所のなかへはいって、しきりにコックを呼んでいました。まもなくコックが帰ってきたのを見て、こんなことをいうのです。
「おい、はやく朝めしをださないか。もう九時だよ。おかしらの散歩の時間がおくれるぞ。おかしらは、朝めしのあとで、山の中を歩きまわるくせがあることを知らないのか!」
「そうがみがみ、いうもんじゃねえ。もうできたんだよ。すぐ持っていくって、おかしらにそういっといてくんな。」
「よし、はやくするんだぞ。」
 そうして、大男はたちさり、すこしたってコックが、大きなぼんの上にごちそうをのせて出ていきました。
 小僧はコックが帰ってくるまでじっとがまんしていて、コックが台所へはいるのを待って、こっそりと、もとの物置部屋へ帰りました。
 そして、木箱の上にナプキンをひろげると、まだゆげのたっているビーフステーキにかじりつき、パンをむしゃむしゃとやりました。そのうまかったこと。ポケット小僧は生まれてから、こんなうまいものをたべたことがないと思いました。
 すっかりたべてしまうと、また廊下にでて、こっそりドアのかぎ穴をのぞいてまわりました。ゆうべの美術館はからっぽでした。四十面相の部下が五、六人も集まって、食事をしている部屋もありました。まっ暗で、なにも見えない部屋もありました。
 ある部屋では、まるで発電所のように、大きなかまのなかで石炭がもえ、発電機がまわっていました。
「ああ、そうだ。こんな山の中に電灯線がきているはずはない。じゃあ、ここでつかっている電気は、みんなじぶんでおこしているんだな。さっきビーフステーキをやいていたのも、電熱器のようだったぞ。わああ、おったまげた。四十面相のやつ、じぶんで電気をおこしていやあがる。」
 ポケット小僧は、その大じかけに、びっくりしてしまったのです。
 なおもまわり歩いているうちに、とうとう、四十面相のいる部屋を見つけました。
 かぎ穴からのぞくと、その部屋も、おそろしくりっぱにかざりつけてありました。いすも、テーブルも、壁も、カーテンも、すっかり金ぴかなのです。ほんとうの金かどうかはわかりませんが、まるで、仏壇(ぶつだん)の中のように、金色にかがやいているのです。
 四十面相は、まっ黒なビロードの服をきていましたが、その肩や胸に、ちかちか光る金色のもようがついているのです。まるで、どこかの国の将軍のようです。
 四十面相は、いまビーフステーキの食事を、おわったところでした。テーブルの上には、グラスがいくつもならび、いろいろな洋酒のびんが立っていました。
 四十面相のそばに、美しい女の人が立っています。まっ白な、ふわふわした洋服をきて、くびには真珠の首かざりが、かがやいているのです。
「じゃあ、おでかけになりますか。」
 女の人が、やさしい声でいいました。
「うん、朝の散歩をかかすわけにはいかん。森のなかを歩きまわるのは、いい気持ちだからな。きょうは、おまえも、いっしょにいこう。」
 四十面相は、そういって立ちあがりました。
 ポケット小僧は、それを聞くと大いそぎでドアの前をはなれ、壁のいちばん暗いところに、ぴったり身をつけて、そっとドアのほうを見ていました。
 ドアがひらいて、四十面相と女の人が廊下にでました。そして、またドアがしまりました。ふたりは、なかよくむこうへ歩いていきます。
 さいわいポケット小僧に気がつかなかったようです。
 小僧は壁づたいに、ふたりのあとを追いました。ふたりは台所とははんたいのほうへ、ずんずん歩いていきます。
「へんだなあ。こっちへいったら、あの大岩で、いきどまりになっているのに。」
 ポケット小僧は、ふしぎに思いながらついていきます。
 ふたりは、あの大岩のところへくると、四十面相が手をのばして、右手の壁のすこしくぼんだところを、ぐっとおしました。すると、あの大岩が、ギイイッと音をたてて、むこうへたおれていくではありませんか。
 こちらから見ていると、大岩のてっぺんには二本の頑丈(がんじょう)なくさりがついていて、たぶん電気じかけでしょう、そのくさりがのびるにつれて、大岩がむこうへたおれていくのです。
 むかしのお城のつり橋と、おなじしかけでした。とうとう大岩は横だおしになり、あの深い谷の上によこたわったのです。
 四十面相と女の人は、その岩の橋をわたってむこうへ歩いていきます。見ると、そこからむこうは、コンクリートのぬってない岩のトンネルです。そして、そのトンネルの入口が、すぐむこうにまぶしく光っていました。トンネルのそとには、太陽が照りかがやいているのです。
 ふたりがトンネルを出てから、しばらくのあいだ待って、ポケット小僧はその岩の橋をわたり、すばやくトンネルの入口まで走っていって、そっと、そとをのぞいてみました。
 ふたりは遠くへいってしまったとみえて、そのへんには人のすがたもありません。
 トンネルのそとは、岩と土のまじった広っぱです。そのまわりを、見とおしもきかぬ深い森が、とりまいています。
 ポケット小僧はトンネルからとびだして、広っぱのまんなかにある大きな岩のかげに、うずくまりました。もし、だれかに見つかってはたいへんだと思ったからです。そこにうずくまって、トンネルの上を見あげました。
 ポケット小僧の顔が、まっ青になり、目がとびだしそうに見ひらかれました。なにがそんなに、小僧をおびえさせたのでしょう。
 ああ、ごらんなさい。トンネルの上には、五十メートル四方もあるような、巨大な岩山が、そびえていたではありませんか。しかも、それはただの岩山ではありません。その巨大な岩山ぜんたいが、人間の顔のかたちをしていたのです。
 奈良(なら)の大仏のからだの何倍もあるような、想像もできないほどの、大きな大きな顔なのです。
 彫刻ではありません。岩山が、しぜんにそういうかたちをしていたうえに、いくらか人間が手をくわえたもののように思われます。
 ああ、その顔……。なんという恐ろしい顔でしょう。悪魔が笑っているのです。さしわたし十メートルもあるような巨大な目で、じっと、こちらをにらみつけています。そして、するどい(きば)のある三十メートルの口で、何百人の人間でも、ひとのみにしようと待ちかまえているようです。

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