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針の穴

时间: 2022-08-09    进入日语论坛
核心提示:針の穴 ある朝、明石一太郎君のお祖父(じい)さんが、老眼鏡をどこかへおき忘れて、いくらさがしても見つからないので、新聞がよ
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針の穴
 ある朝、明石一太郎君のお祖父(じい)さんが、老眼鏡をどこかへおき忘れて、いくらさがしても見つからないので、新聞がよめないといって、困っていらっしゃいました。
「一太郎、お前がいたずらをしたんじゃあるまいな」
 お祖父さんは、そばにいた一太郎君を見て、笑いながら、おっしゃるのでした。
「いいえ、僕、いたずらなんかしませんよ。でもね、お祖父さん、僕が新聞をよめるようにしてあげましょうか」
 一太郎君が妙なことをいいました。
「よめるようにといって、お前がよんで聞かせてくれるのかね」
「いいえ、そうじゃありません。お祖父さんがおよみになるんです。眼鏡の代りになるものを、僕が作ってあげましょうかっていうのですよ」
「眼鏡の代りになるものだって。ハハハハハハハ、ほんとうにそんな便利なものがあればいいんだがね」
 お祖父さんは、一太郎君がじょうだんをいっているのだとお考えになったのです。胸にたれた真白なお髭をふるわせて、お笑いになりました。
「お祖父さん、うそだとお思いになるのですか。じゃ今、僕が作って来ますからね。待ってて下さいね。三分もかからないのですよ」
 一太郎君は、そう言いすてて、自分の勉強部屋の方へ行きました。
 みなさん、一太郎君はいったい、どんなものを作ってくるのでしょうか。一つあててみて下さい。今は夏のはじめですから、いつかのように氷の眼鏡玉なんて、できるはずはありません。むろんレンズの拡大鏡でもないのです。そんなものでは代用品とはいえませんからね。
 やがて、一太郎君がニコニコしながら、もってきたのは、郵便はがきを縦に半分に切ったほどの、白い画用紙だったのです。
「お祖父さん、眼鏡の代りというのは、これですよ」
 その画用紙を見て、お祖父さんはへんな顔をなさいました。
「おやおや、ただの厚紙じゃないか。そんなものが眼鏡の代りになるのかい」
「ええ、そうなんです。不思議でしょう。こうして見るんですよ」
 一太郎君は、その細長い画用紙を横にして、両方の目の前にあてて見せました。
「ちょうど、目のところに小さい穴をあけてあるんです。両方の目に合うように二つ穴があけてあるんですよ。その穴からのぞくんです」
「ほほう、そうすると、新聞がよめるというのかね」
「ええ、よめるんです。明かるいところでなくちゃだめですよ。縁がわに出て、やってごらんなさい。きっとよめますから」
 お祖父さんは、あんまり一太郎君がすすめるものですから、明かるい縁がわに出て、その画用紙を目にあてて、新聞をのぞいてごらんになりました。
 小さな小さな穴を、ちょうど目のところにあてがうのに、ちょっと骨がおれましたが、やがて、その穴から、新聞の活字が、まるで眼鏡をかけたように、はっきり見えてきました。
「うむ、不思議だ。これは不思議だ。よめるよ。小さな振り仮名まで、よくよめるよ」
 お祖父さんはびっくりしたように大きな声でおっしゃるのです。
 すると、その声が聞えたのか、となり部屋から、お父さんが出ておいでになりました。
「何を感心していらっしゃるのです。又、一太郎が何かやったのですか」
「いや、この子には、時々おどろかされるよ。こんな厚紙に穴をあけただけで、老眼鏡で見るように、新聞の字がよく見えるのだ」
「どれどれ、私にも一つ見せて下さい」
 お父さんは、その画用紙を目にあてて、新聞を近よせ、しばらくのぞいておいでになりましたが、
「ふーむ、なるほど、拡大鏡で見るように、大きく見えますね。一太郎、これはお前が考えついたのか」
 と感心したように、おたずねになりました。
「ええ、僕が考えたんです」
「どうして考えついたか話してごらん。お父さんも、こんな手軽な眼鏡があろうとは、思いもつかなかったからね」
 そこで、一太郎君は、この不思議な眼鏡を考えつくまでのすじみちを、次のように話しはじめました。
「僕、小さい時、目を細くして、明かるいところを見ていたら、目の前に、太い線のようなものが、幾本も見えたんです。僕、びっくりしてしまったんです。
 よく考えてみたら、それが僕のこのまつ毛だったのですよ。
 それから、僕、いろんなものをためしてみたんです。目を糸のように細くして、そのすぐ前に、指の先を出すと、指紋が拡大鏡で見るようにはっきり見えるのです。僕、それが不思議でたまらないので、幾度もためしてみたのです。
 理科でレンズのことを習ったとき、そのことを、すぐ思いだしました。そして、レンズがなくても、目をうんと細くすれば、いろんなものがよく見えるということからいいことを思いついたんですよ。目を細める代りに、厚紙に穴をあけて、のぞいて見るっていう工夫(くふう)です。はじめ僕は、小さい穴や大きい穴や、いろいろやってみたんです。大きい穴ではだめでしたが、小さくするほどよく見え、針の先であけた穴にすると、とてもよく見えたのです。針の穴が小さければ小さいほど、暗くなるけれど、物は大きく見えるのですよ。蚊だとか蠅の(はね)だとか、いろんなものを、その針の穴のむこうがわへ、二センチぐらいに近づけて、明かるい光にあててのぞくと、虫眼鏡のように見えるんです。四五倍ぐらいになって見えるんです。小さい活字の字引なんかは、穴を一ミリぐらいに大きくして、十センチほどはなして見ると、お祖父さんの老眼鏡ぐらいには、大きくなって見えるんです。
 それで、僕、厚紙を眼鏡の形に切りぬいて、それに穴を二つあけて、ひもをつければ、お祖父さんの眼鏡ができるなあと思ったんです。いつかお祖父さんに作ってあげようと考えていたんです。
 すると、お祖父さんが、眼鏡をなくして、お困りになっていたでしょう。だから、僕、すぐにそれを思いついてやってみたんですよ」
 お父さんは、この一太郎君の説明を、お聞きになって、たいへん感心なさいました。
「ああそうか、よくそこまで思いついたね、目を細めて自分のまつ毛を見ることは、誰にもできるが、それからだんだん考えを進めて、虫眼鏡や老眼鏡を工夫したのはえらい。学者の発見や、発明でも、みんなそうして、一つのことを次から次へと根気よく考え進めて行ってこそ、できあがるのだよ。
 つまらないことでも、よく気をつけて考えてみること、その考えをほかのものにもあてはめていろいろやってみること、それが何より大切なのだ。
 お前が工夫した、針の穴がどうして、眼鏡の代りになるかというようなことをしらべる学問を光学というのだが、お前が大きくなってむつかしいりくつがわかるようになったら、それがどういうわけか説明できるようになるだろう。今はそこまで考えなくてもいい、こういう発見をしただけでも大手柄なんだよ」
 お父さんがあんまりおほめになるものですから、一太郎君はなんだか恥ずかしくなって顔を赤くしてしまいました。
「ふーむ、なるほど、一太郎は小発明家というわけだね。それじゃ一つ、眼鏡のお礼に、何か御褒美(ごほうび)を出さなくてはなるまいな」
 お祖父さんも、一太郎君の頭をなでながら、目を細くして、おっしゃるのでした。
 それ以来、明石君のお家では、この針の穴の軽便(けいべん)眼鏡に「一太郎の眼鏡」という名がつけられました。そして、いつとなく、それが学校のお友だちまでに知れて、「一太郎の眼鏡」は、たいへんな人気ものになってしまいました。
 みなさんも、古いハガキか何かで「一太郎の眼鏡」を作ってごらんになってはいかがですか。
 老眼鏡には直径一ミリぐらいの少し大きい穴がよいのです。針でそんな穴をあけるのがむつかしければ、(きり)の先を使うのです。そして、読むものを十センチぐらいはなして、その上に明かるい光があたるようにして見るのです。
 虫眼鏡に使うには、できるだけ、針の穴を小さくして、物を二センチぐらいに近づけて、明かるい光にあてて、のぞくのです。近眼の方は、眼鏡をとって遠くのものをのぞいてためしてごらんなさい。そうしていろいろ工夫をしてやっているうちには、一太郎君の思いもよらなかったような、おもしろい実験ができるかも知れませんよ。
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