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赤土へくる子供たち(2)

时间: 2022-09-13    进入日语论坛
核心提示:二 十日(とおか)ばかり前(まえ)のことでした。新緑(しんりょく)がすがすがしいしいの木(き)の下(した)で、たたみやが、しごとを
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 十日(とおか)ばかり(まえ)のことでした。新緑(しんりょく)がすがすがしいしいの()(した)で、たたみやが、しごとをしているのを、かね()さんは、()って()ていました。いつか(あか)いインキをこぼして、お(とう)さんにしかられてすぐインキけしでふいたけれど、どうしても、そのあとがとれなかった(ちゃ)()のたたみも、(あたら)しい(あお)(くさ)のかおりのす(おもて)にかえられました。
 もうこれから、毎日(まいにち)あのよごれた、たたみを()なくてすむのであります。そんなことを(おも)って()ていると、おもしろいように、ほうちょうの()(はい)ります。するするとござが()れていきます。そのあとを(ふと)(はり)が、すいすいとぬって、じょうぶな(いと)(とお)していきます。半畳(はんじょう)のところへくると、半分(はんぶん)だけござが(のこ)りました。かね()さんは(うち)へかけこんで、
「お(かあ)さん、(あたら)しい半分(はんぶん)のござが(のこ)ったの、どうするの?」と、ききました。
「しまっておけば、入用(にゅうよう)のことがありますよ。」
「ねえお(かあ)さん、(わたし)にちょうだいよ。」
「なんにするんですか。」
(わたし)、おままごとのとき、しくんですの。」
「そんなら、(おお)きいのがいいでしょう。」
(わたし)(ふる)いのはいや、(あたら)しいのがいいの。」
「あげてもいいですよ。」
 かね()さんは、(よろこ)んで、半分(はんぶん)のござをもらって、物置(ものおき)(なか)へしまっておきました。
 いま(ぜん)ちゃんや、(ゆう)ちゃんや、(しん)ちゃんたちが、べいごまをするのに、ござがなくなってこまっているのを()て、しまっておいたござを、(おも)()したのです。それでかしてあげましょうかと、いったのでした。
「ばか。」と、(にい)さんにしかられて、かね()さんは(かお)(あか)くしました。けれど、自分(じぶん)のものを、かしてやって、しかられるわけはないので、
物置(ものおき)にあるわよ。」と、かね()さんはいいました。
「あれは、ぼくんだい。」と、小山(こやま)は、(いもうと)をにらみました。
「いいえ、あれは、(わたし)のよ。」
「ぼくが、手工(しゅこう)をするのに、お(かあ)さんからもらったんだい。」
 (とも)だちは、二人(ふたり)(ほう)()ていましたが、
小山(こやま)くん、かしてね。」と、(しん)一が、いいました。けれど、小山(こやま)はだまっていました。
「ねえ、辰雄(たつお)くん、いいだろう。」と、善吉(ぜんきち)がいいました。
「ぼく、べいを()っていないから、つまんないもの。」と、小山(こやま)(こた)えました。
「ござをかしてくれれば、一つあげるよ。」と、勇二(ゆうじ)が、いいました。小山(こやま)は、(きゅう)に、たのしそうな顔色(かおいろ)になりました。
「ほんとうかい。」と、小山(こやま)は、かけだしました。
「だれが、うそをいうもんかね。」と、武夫(たけお)勇二(ゆうじ)は、(かお)()あって、にっこり(わら)いました。
 小山(こやま)は、ござをかかえて、もどってきました。このとき、かね()さんは、
光子(みつこ)さん、あっちへいって、じゅずだまを()りましょうよ。」と、いいました。(くさ)むらの(なか)には、つゆくさがむらさきの(はな)()かせていました。へびいちごの(あか)()が、じゅくしていました。あちらでは(おとこ)()たちが、べいにむちゅうになっています。
「ござが(あたら)しいから、気持(きも)ちがいいね。」
(ゆう)ちゃんの(かく)(つよ)いなあ、(たっ)ちゃんの一つしかないべいがすっとんでしまった。」と、(ぜん)ちゃんが(わら)いました。
 小山(こやま)は、しょげてしまいました。せっかく、(ゆう)ちゃんがくれたのに、また(ゆう)ちゃんに()られてしまったからです。
「ぼくが、一つあげよう。」と、こんどは、武夫(たけお)が一つこまを小山(こやま)にやりました。
「やりとりしっこなしなんだろう。」
「うそっこでは、つまんないや。」
「わかると、先生(せんせい)にしかられるよ。」
「ああ、いちばんあとで、みんなかえそうや。」
 みんなで、そんなことをいっていると、
「ぼく、もうかえろう。」と、小山(こやま)がいいました。
「かえるの? もっとあそんでおいでよ。」
勉強(べんきょう)しないと、お(かあ)さんにしかられるもの。」
 小山(こやま)は、しいてあるござを()りかかりました。
(たっ)ちゃん、かしておきよ。すんだら()っていくから。」と、武夫(たけお)がいいました。
「よごすと、手工(しゅこう)のとき、こまるもの。」
「そんな、いじわるをいうもんでないよ。」
「ほんとうだい。ござがなければ、べいができないじゃないか。」と、勇二(ゆうじ)が、おこり()しました。
 小山(こやま)は、こういわれると、ござにかけた()をひっこめました。
(たっ)ちゃん、べいを一つあげよう、これは、ほんとうに、(きみ)にあげるのだよ。」と、善吉(ぜんきち)が、こまをやって、小山(こやま)のきげんを、なおそうとしました。
「さあ、みんなでやろう。(たつ)ちゃん、もうすこしあそんでいたって、いいだろう。」
 こういいながら、(しん)一は、ブーンとうなりをたて、こまをござの(うえ)()()れました。こまは元気(げんき)よくまわりました。そこへ善吉(ぜんきち)も、勇二(ゆうじ)も、武夫(たけお)もいっしょにこまを()()れました。
 こまは、たがいにふれ()って、ぱっぱっと火花(ひばな)()らしています。ややおくれて、辰雄(たつお)ももらったこまを()()れました。辰雄(たつお)のこまもすごいいきおいを()してまわっていたが、けっきょく武夫(たけお)のこまが、どれもこれも、はじきとばして天下(てんか)()りました。また、小山(こやま)は、こまを一つも()たなくなったのです。そのさびしそうなようすを()て、(しん)一は、
(たっ)ちゃんに、一つあげよう。」と、いって、ひらたい、ぴかぴか(ひか)ったのをやりました。
「おお、そのべたをやるの。」と、勇二(ゆうじ)が、()をまるくしました。
「かしてあげたのさ。」と、(しん)一は(こた)えた。そうきくと、なんと(おも)ったのか、
「いらない。」と、いって、辰夫(たつお)[#「辰夫は」はママ]、そのこまを(しん)一の()(かえ)しました。
「どうして。」と、(しん)一は小山(こやま)(かお)をふしぎそうにのぞきこみました。
「ぼく、もうかえるんだよ。」
「ほんとうに、これ、(きみ)にあげるよ。」
「ぼく、もうかえるんだ。」
 小山(こやま)は、こういって、また、ござを()りにかかりました。
 このとき、じっと小山(こやま)のすることを()ていた善吉(ぜんきち)が、
「いじわるのけちんぼめ。」と、いって、小山(こやま)のござを、自分(じぶん)のはいていたくつで、ふみにじりました。
(なに)するんだ。」と、小山(こやま)は、善吉(ぜんきち)を、おしたおそうとしました。ひょろひょろとなった善吉(ぜんきち)は、
「なにを。」と、小山(こやま)に、とびついていきました。

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