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さかずきの輪廻(3)

时间: 2022-11-03    进入日语论坛
核心提示: それと、仏壇ぶつだんの燈火あかりとは、なんの縁えんがないようなものの、やはり燈火あかりはかすかな輝かがやきを放はなって
(单词翻译:双击或拖选)
 それと、仏壇ぶつだん燈火あかりとは、なんのえんがないようなものの、やはり燈火あかりはかすかなかがやきをはなって、そのかがやきの一筋ひとすじに、たこのうなっている、あお大空おおぞらてと、相通あいつうずるところがあることをおもわせたのです。よるは、くらそとに、木枯こがらしがすさまじくさけんでいました。そんなとき、たたく仏壇ぶつだんかねは、このいえからはなれて、いつまでもたよりなく、荒野こうやなかをさまよっていました。
いつしか、まご時代じだいとなりました。
かれは、ふるびた、朱塗しゅぬりの仏壇ぶつだんまえっても、なんのこともかんじなくなりました。
ある仏壇ぶつだんのひきだしをけてみますと、ちいさなはこなか利助りすけのさかずきがはいっていました。かれは、これをしてみましたけれど、それがいいさかずきであるか、そうでないかということは、かれにはわかりませんでした。
けれど、まごは、先祖せんぞから大事だいじにしていたさかずきであるということだけはっていましたので、これをだれかに、鑑定かんていしてもらいたいとおもいました。
近所きんじょに、一人ひとりのおじいさんがありました。このひとは、なんでも、いまどきのものより、むかしのものがいいときめていました。書物しょもついてあることも、むかしのほうのが、かたくていいといっていました。こよみも、新暦しんれきよりは、旧暦きゅうれきのほうが季節きせつうつわりによくっているといっていました。それで、時計とけいすら、数字すうじきざんであるものよりは、日時計ひどけいのほうが、正確せいかくだといって、ふねかたちをした、日時計ひどけい日当ひあたりにして、帆柱ほばしらのような、まっすぐなぼうからちるくろかげによって時刻じこくをはかるのでした。
まごは、そのおじいさんのところへ、さかずきをってまいりました。
「おじいさん。どうか、このさかずきをてくださいまし。」と、かれたのみました。
きれいきな、おとこやもめのおじいさんは、いえうちをちりひとつないようにきよめていました。おじいさんは、なにをたずねられても、らぬといったことはありません。で、むらでの物知ものしりでありました。さっそく、おおきな眼鏡めがねをかけて、
「どれ、そのさかずきかい。」といって、って子細しさいにながめました。
「たぬきかな? いや、ねずみかな、そうだ、ねずみらしい。は、あまりうまくないな。けれどこのあいいろがなかなかいい。いまどきのものに、こうした、あいえたいろられないな。まあ、いいしなだろう。」といいました。
「だれが、つくったのでしょうか。」と、まごはたずねました。
おじいさんは、また、さかずきをりあげて、ながめました。
「そうだ、利助りすけいてある。いたことのないだな。」
結局けっきょく、たいしたしなではないが、まあふるいさかずきだから、いまどきのものとくらべるとわるいことはないというのでした。まごは、いえかえりました。かれは、さかずきをまたかみつつんで、仏壇ぶつだんのひきだしにいれておきました。
さむい、ゆきくにに、まごはいたくはありませんでした。かれは、いつからともなくにぎやかな東京とうきょうまちあこがれていました。そして、いつかは、東京とうきょうて、なにか仕事しごとをして、かたわら、勉強べんきょうでもしようというのぞみをいだいていました。
とうとう、かれは、いえのことをあねや、おとうととにたのんで、自分じぶん東京とうきょうることになりました。そのとき、かれは、むかしからいえにあったものや、金銀きんぎんちいさな細工物さいくものや、また、ながほとけさまにさけげるさかずきになっていた、ひきだしのなかにしまってあった利助りすけのさかずきなどをひとまとめにして、それを荷物にもつなかにいれました。かれは、東京とうきょうてから、なにかたしになるであろうと、おもったのでした。
かれは、東京とうきょうへきてから、ある素人家しろうとやの二かい間借まがりをしました。そして、昼間ひるま役所やくしょへつとめて、よるは、夜学やがくかよったのであります。あるとき、かれは、書物しょもつうのに、すこし余分よぶんかね入用にゅうようでありました。そのとき、ふと、くに時分じぶんに、荷物にもつなかれてってきた金銀きんぎん細工物さいくものとさかずきのまだ、らずにあったことをおもいつきました。
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