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さか立ち小僧さん(2)

时间: 2022-11-03    进入日语论坛
核心提示: こんど、乾物屋かんぶつやを出でるときだって、ちっともおれが悪わるかったと思おもっていない。すこしばかりのいわしのにぼし
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 こんど、乾物屋かんぶつやるときだって、ちっともおれがわるかったとおもっていない。すこしばかりのいわしのにぼしをいぬにやったとて、そんなにわるいことでないだろう。なぜって、おれの給金きゅうきんをこれといって、きめてくれないのだから、それぐらいのことをしたって、なんでもないはずなのだ。」と、秀吉ひできちはなしはだんだん、ねつをおびてきました。
にいた、おおくのどもたちにも、そのはなしがわかるので、みんなかがやかしながら、秀吉ひできちかおつめて、いていました。
「おれはずいぶんとおむらまで、ごようきにやらされたものだ。ちょうど、二ばかりはなれた居酒屋いざかやくろといういぬがいて、おれがかえるときに、っても、っても、ついてくるのだ。とちゅう、ほかのいぬがたかってきて、ほえたり、いかけたりしても、やはりついてくる。くろはだまって、けっしてあいてにならないが、たまにおおきいつよそうないぬてきて、いじめられそうになると、どこをどうまわってげるものか、ちゃんと、さきへいって、おれをっている。ほんとうに、りこうなかわいいいぬだったよ。おれたちが、みせへつく時分じぶんには、もうとっくにれていて、そとくらだった。そして、おれが、をあけて、みせあしれると、さびしそうに、それまでちどまってていたくろは、びとめても、あともふりかずとっとと、もとのみちをもどっていくのだ。おれは、かわいそうで、どうしようもなかった。とこはいっても、くろのことばかりかんがえて、その姿すがたにうかんでねむられなかった。いまごろくろは、まだあのさびしい松並木まつなみきのあるあたりをあるいているだろう。もう、どのへんへいったろうかと。あるばんのこと、またくろがついてきたので、なにもやるものがないから、みせさきのおけにはいっていた、にぼしをすこしばかりつまんで、げてやった。それがうんわるく主人しゅじんつかって、ひどくしかられた。おまえはきょうばかりでない、へいぜいみせ品物しなものをそまつにするのだろう、そんなものは、このいえにおけないと主人しゅじんはいうのだ。おれは、かなしかったよ。おふくろが、どんなにくだろうとおもうと、おれは、られるようなおもいがして、主人しゅじんにわびたのだ。しかし、がんこな主人しゅじんは、どうしても、ていけというのだ。さいわい、近所きんじょで、ごろから顔見知かおみしりのひとで、そんなら、東京とうきょうにいいくちがあるが、いってみないかと、せわしてくれたので、おふくろとわかれるのは、つらかったけれど、ここへきたのさ。
こんどの主人しゅじんは、いくらいいかしれない。しんぼうして、はやおおきくなって、ひとりだちをして、かわいそうなおふくろを安心あんしんさしてやらなけりゃ……。」と、秀吉ひできちはいって、なみだぐむのでありました。
このときから、たけちゃんも、しょうちゃんも、このとおくからきている小僧こぞうさんに、なにかにつけて、同情どうじょうしたのであります。
あるの、午後ごごのことでした。
たけちゃんとけんちゃんがペスをつれて、くさいきれのする細道ほそみちを、かわほうからきかかると、からのリヤカーをはしらせて、とおぎようとする、秀吉ひできちあいました。
「おや、どこへいったの?」と、秀吉ひできちは、くるまをとめて、きました。
「ぼくたち、かわほうまで、散歩さんぽしたんだよ。」と、二人ふたりこたえました。
「もう、かえるのかい。そんなら、これにせてあげるよ。」と、秀吉ひできちは、すすめました。
「ペスもせていい。」と、けんちゃんが、いいました。
「みんなおりよ。」
「ペスもおいで、いっしょにろうよ。」と、たけちゃんが、うずくまりました。
このとき、秀吉ひできちは、ふりいて、いつもているペスだけれど、はじめてがついたように、
「いいいぬだね。」と、ほめました。
「ああ、これでもテリヤなんだ、純粋じゅんすいじゃないけど。」と、たけちゃんは、ペスのあたまをなでていいました。
「おとなしくて、りこうないぬだよ。」と、けんちゃんは、小僧こぞうさんに説明せつめいして、さらに、たけちゃんにかい、
「こうしてると、ちいさくないね。ぼく、いつても、小犬こいぬのようながしたが、なかなかりっぱじゃないか。」といいました。
小僧こぞうさんが、いなかにいたとき、かわいがったくろといういぬは、どんないぬなの?」と、たけちゃんがきました。
秀吉ひできちは、リヤカーをはしらせながら、
くろかね、りこうないぬだった。そんな、なになにしゅって、のつくいぬでなかったけれど、おれは、どのいぬよりも、くろきなんだよ。」と、かれは、かみを、かぜかせながら、さもなつかしそうにこたえました。そして、なにをおもったか、きゅう速力そくりょくをゆるめ、ふりいて、ペスをながら、
「このいぬも、いいいぬらしいな。」と、じっと、なかを、のぞくようにしました。そこには、くろ共通きょうつうのものがありました。なんと、そのは、すみきって、おとなしそうで、すばしっこそうで、なんでも人間にんげんのいうことが、わかるような、かしこそうにみえるではないか。
いぬって、みんなりこうなんだな。だからくろもペスも、おなじくらいかもしれない。」と、秀吉ひできちは、いいました。
いぬって、みんなりこうなんだね。」
「どのいぬも、人間にんげんなんかよりは、りこうだとおもうよ。」
人間にんげんよりも……。」
「そう、人間にんげんのように欲深よくふかでもないし、いちどしんじれば、気変きがわりなんかしないからね。」と、秀吉ひできちこたえたのです。
二人ふたりは、そうくと、ふかくうなずかずにはいられませんでした。
「こんど、いつくにかえるからないが、どうか、それまで、くろがたっしゃでいてくれればいいが。」
秀吉ひできちは、ひとりごとをいって、また、いっしょうけんめいに、リヤカーを、自分じぶんたちのまちほうはしらせたのです。そのうし姿すがたが、二人ふたり少年しょうねんには、なんとなくかなしくうつりました。
あちらに、したしみのある、湯屋ゆやたか煙突えんとつえたころです。
ばんに、ぼくたち、双眼鏡そうがんきょうで、そらほしるから、秀吉ひできちくんもあそびにきたまえね。」と、たけちゃんがいいました。
「ほんとうに、おいでよ。」と、けんちゃんも、いいました。
おおぐまぐま北斗星ほくとせいなどをるのだよ。それに、もっととお海王星かいおうせいが、くもがなくてえるといいね。」と、けんちゃんが、さもたのしそうに、いいました。
「ごはんべてからですね。そうすれば、おれも用事ようじわるから、いかれますよ。」と、秀吉ひできちは、こたえました。やがて、リヤカーは、さかくだると、みちをまがって、二人ふたり少年しょうねんいぬせながら、自分じぶんたちのいえのあるまちなかはいったのでした。
 
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