三人と 二つの りんご
小川未明
「かずおちゃん、どうして なみだを だしたんだい?」
と、たろうさんが ききました。
「よしおさんと しげおさんが ひっぱったんだよ。」
「なんにも しないのに?」
と、きみ
「あそびに こいと いって、りょうほうから ぼくを ひっぱったのだ。」
「なあんだ、かずおちゃんが、いなかへ いって きて、めずらしいからだ。」
「いなかの おじいさんも いいけれど、とうきょうの おじいさんも いいな。」
と、たろうさんが いいました。
「おじいさんの ところへ、あそびに いこうよ。」
「ええ、いきましょう。」
おじいさんの おうちは、ちかかったのです。三
「おじいちゃま、あそびに きました。」
「よく きた。さあ おあがり。なんにも やる ものが なくて こまった。りんごが 二つ あるから、ちえだめしを して、よく できた ものに 一つ、あとの ふたりに はんぶんずつ やると しよう。」
「むずかしい もんだい?」
「いや、やさしい もんだいだ。おとうさんと おかあさんと、どちらが すきですか。」
いちばん
「ぼく、おかあさん。」
と、すぐに こたえました。きみ
「わたし、わからないわ。」
と こたえました。おとうさんに わるいと おもったからです。
「ぼく、どちらも すき。」
と、たろうさんが こたえました。
「みんな よく できた。」
と、おじいさんは わらいながら いいました。そして、いろいろと かんがえた のちに、
「かずおちゃんが いちばん よく こたえました。ですから、かずおちゃんに りんごを 一つ あげます。あとの ふたりには はんぶんずつ わけて あげます。」
と いいました。