桜島(さくらじま) (鹿児島県鹿児島市)
コノハナサクヤヒメを祀る「サクヤ島」
「桜島」の名前の由来には、諸説あるようだ。
ここで、そのすべてを簡単に紹介しよう。まず十世紀頃に、大隅守として京都から赴任
してきた桜島忠信という人物の姓からとったという説がある。しかし、「いやいや、桜島
という地名から姓をとって、桜島忠信にしたのだ」という逆の説もあるので、定かとはい
えない。
このほかには、神話などに登場するコノハナサクヤヒメという女神が、桜島の五社大明
神社に祀まつってあるということから、このお姫様の名前を基にして「サクヤ島」から
「桜島」になったという説もある。
さらに、古代の大噴火のときに、桜の花びらが海面に浮かんでいたからだという説まで
あるようだ。
桜島には、一五二六(大永六)年には、「向島」と呼ばれていた史実がある。これは薩
摩藩の地図に記されているのだが、同じ地図の一五五〇(天てん文ぶん十九)年のものに
は、桜島と書き換えられていることがわかっている。
なお、桜島といえば、やはり噴火で有名である。その過去の大爆発は、文明溶岩、安永
溶岩、大正溶岩などとなっていまに残っている。
なかでも大正溶岩は、桜島と大隅半島のあいだの瀬戸海峡(幅三五〇~四〇〇メート
ル)を埋め、島を陸つづきの半島にしてしまった。最近の一九四六(昭和二十一)年の爆
発による溶岩は黒神集落を襲い、やはり海を埋めている。
この溶岩は「昭和溶岩」といい、噴出した火山灰なども雨風で流れ出して、「地獄河
原」と呼ばれる荒野になっている。