鴨川（かもがわ）

 鴨川（かもがわ） （京都府京都市）

　　 京都の「かもがわ」は「鴨川」？「賀茂川」？「加茂川」？
 

　京都の地図をよく見てみると、上賀茂神社や下鴨神社の西を流れる川は「賀茂川」となっていて、高野川と合流する出で町まち柳やなぎより下流は「鴨川」となっている。神社や地名の「かも」も、「鴨」だったり「賀茂」だったり「加茂」だったりと、いくつも書き分けられているのだが、いったいどうなっているのだろうか。

　川に関してのみまず説明すると、河川の管理上の河川法では「鴨川」が正式な名称で、これは京都府の決定事項となっている。だが実際には、あくまで正式な文書などの場合の統一であって、その他の場合においては不統一のままだ。

　出町柳のあたり、高野川との合流点を境として、そこより上流を賀茂川と書き、そこより下流を鴨川と書くことが多い。

　しかし、正式名は鴨川と決まっているのに、なぜいつまでもいろいろな表記の「かも」が存在してしまうのかというと、川の名前というより、上賀茂神社と下鴨神社の関係にも起因するようだ。

　まず、このあたり一帯には、かつての大和から移住してきた豪族・賀茂氏の本拠地があった。賀茂氏は鴨氏とも書くため、氏うじ神がみとして二つの神社を建立した。この神社の名前から、高野川との合流点より上流を「賀茂川」、下流を「鴨川」と呼ぶようになった。もともとが同じものなのだから、そのままでいいということなのかもしれない。

　なお、これ以外の加茂川は、賀茂川から転じたものだといわれている。