厳島(いつくしま )(広島県廿日市市)
神によって清められたという「斎き嶋」
広島県廿日はつか市いち市宮島町にある「厳島」。松島や天の橋立とともに、日本三景の一つとされている。
ここにある厳島神社は、市いち杵き嶋しま姫ひめの命みことなど三女神を祀っており、市杵嶋や、厳島神社の社殿に書かれている「伊都岐嶋神社」という名前や、神によって清められた地という意味の「斎いつき嶋」などの意味から厳島といわれるようになったという。
そもそも、島自体が神様の名前、聖なる地であることを示しているとされ、町名となっている「宮島」は、「神様の御み屋や」「お宮さんの島」という意味である。日本三景として崇あがめられたのも、その美しさだけではなく、平氏の滅亡後もつづいていた厳島信仰のためであるともいわれている。
かつては、島そのものが本当に神として信仰されたので、島内での人の居住や出産はかたく禁じられていた。
現在でも、島内に墓や墓地はなく、人が亡くなった場合には、対岸の旧大野町に埋葬するのだという。
平安時代の末期に、平清盛が寝殿づくりをまねた社殿を海上に造営したり、十五世紀の建造といわれる五重塔や豊臣秀吉が建立した千せん畳じよう閣かくなどもあり、神の島として古くから大切にされてきたことがわかる。