薬樹山(やくじゆさん) (大阪府河内長野市)
薬草がたくさん生える素晴らしい山
大阪の河内長野市にある「薬樹山」延命寺の創建にたずさわったのは、もともとはあの弘法大師空海といわれている。そして、延命寺の冠に付いている薬樹山という山名は、古来からここの土地には薬草が多く自生していることで有名だったことに由来する。
ところで、この延命寺の周辺は鬼住村といわれ、鬼伝説がある。
その昔、泉に住んでいる男の鬼がいて、その鬼のことを泉の父ちち鬼おにといった(その地名は現在の和泉市父鬼町になっている)。そして、この延命寺付近にはその妻が住んでいたのだという。
その昔、周囲の村人たちは、その鬼の行き来にさんざん迷惑をかけられたらしく、かなり困り果てていた。
いくらいってもお互いが往来することをやめなかった鬼に対し、ある勇敢な男が名乗りを上げ、弓矢で鬼を退治したという。
その勇敢な男の子孫が、浄じよう厳ごん和尚といい、この村に寺を創建して延命寺と名付けた人物なのである。
寺の本尊には、いまでもその鬼退治のときに使われたという弓矢が、大切に保管されているという。
この延命寺はたいへん紅葉が美しい寺としても知られており、境内にもたくさんのもみじの木があるが、樹齢千年ともいわれる有名な「夕ゆう照ばえの楓もみじ」は大阪府の天然記念物にも指定されている。