面白山(おもしろやま) (宮城県仙台市)
ふつうの山なのに、なぜかおもしろい山
奥羽山脈の面白山連峰は、山形県と宮城県の分水嶺をなす、北面白山・大東岳・南面白山・小東岳を主とする山並みだ。
その源流は山形県側にあり、紅葉川流域である。
ところで、この山並みが「面白山」と呼ばれるようになったのは、意外にも近年になってからのことのようだ。
明治時代の人々は、その山の容姿から受けるイメージを感覚的にとらえ、北面白山のほうのことは「荷笈い山」「根生山」「匂い山」などと書いて「においやま」と呼んでいた。
まず、「荷笈い山」という書き方の場合では、稜線が馬の背の形のように真ん中あたりがやや低くなっている、荷を笈う(負う)感じの山並みからそういった。
また、「根生山」と「匂い山」という表記に関してはもっとわかりやすく、山の中腹にある根生沢の硫化鉱の匂いがただよってくることから、そんな呼び方が自然にできたらしい。
なお、それ以前からある古文書には、面白山の最初の語源があるが、たいへん残念なことに、特別〝おもしろい話〟でもなんでもない。
住民の、山に対する信仰心と、仏教伝来による仏教思想が民俗信仰として発達したということで、冬山の雪の美をたとえ、「面の白い清い山」という意味をもって、面白山という名前が誕生したのだという。
近頃流行の「お笑い」とはまったく無縁の地名のようだ。