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アメリカ嫌い10

时间: 2018-10-26    进入日语论坛
核心提示:   遊美術 島(渡嘉敷島)で暮らしていると、夏、つぎつぎ人がやってきて、わたしはさながら民宿のおやじである。 子連れで
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    遊美術
 
 
 島(渡嘉敷島)で暮らしていると、夏、つぎつぎ人がやってきて、わたしはさながら民宿のおやじである。
 子連れでやってくる客も多い。だいたい子どもは質問好きで、好奇心|旺盛《おうせい》だ。
「ハイタニさんの家は美術館みたいですね」
 まず、よいしょする。
「ハイタニさんは服をどこへ隠しているのですか」
 隠しているのですか、ときた。四十センチ幅の備えつけの洋服ダンスを教えると、中を開けて、おもむろにいったもんだ。
「あんがい貧乏やなァ……」
 いい年こいて独り暮らしかと思うらしく、たいていの子がたずねる。
「独りで淋《さび》しくないですかあ」
 わたしも負けじと逆襲する。
「あんた、およめにきてよ。少しくらいなら待つからさ」
 すかさず返された。
「わたしにも選ぶ権利があるんですよう」
 このごろの子どもの口にはとても敵《かな》わないが、子どもの客は楽しく、こちらまで浮き浮きする。
 あそびじゅつ(遊美術)の子どもたちがやってきた。遊美術、いい命名だ。
 たっぷり遊んで、ぼちぼち学べばいい、という考えの子ども集団である。
 
 四日市市の子どもの本専門店「メリーゴーランド」の増田喜昭さん、仙台の「アトリエ自遊楽校」の新田新一郎さんらが中心になってつくった。
 子どもが主人公という精神を尊重する。たとえば那覇でのワークショップ。平和通りの市場見学は、地図だけ持って、それぞれ自由に行動する。
 沖縄の胃袋は? 自分の街で売っていないものは? 市場のおばちゃんたちは?
 成果を、みんなで報告し合う。
 話し好きのおばちゃんにつかまって、せっかくの市場なのに、じゅうぶん回りきれなかったと嘆く(?)子、マンゴージュースを特別大きなコップで飲ませてもらったと自慢する子、サトウキビやスターフルーツを見せる子、みな生き生きとして誇らしげだ。
 
 わたしは海の話をせがまれた。
「タツノオトシゴは魚の仲間かな」
「マグロは、いつ、どこで眠ると思う?」
「イカは空を飛ぶか」
 子どもたちの目がきらきら光っている。
 天も浮かれたのか、島の二日間は快晴だった。
 サンゴの海で、たらふく泳いだ子どもたち。水中メガネで見た熱帯魚。カヌーも、シュノーケリングも、はじめての経験だ。
 夜は、グループに分かれ、それぞれ創作劇を披露する。みな名優、みな主人公。
 ノボさんこと福尾野歩《ふくおのぼ》さんの「遊びうた」で最高に盛り上がり、楽しい夏の日は終わった。
 私は思う。この子たちはしあわせだ。しかし……。子どもはみな、このしあわせを受ける権利がある。人の都合で自然に手をつけようとするとき、わたしたちは、それがほんとうに子どもたちの未来にとってどうなのか、じっくり考えてみる必要がありはしないのかと。
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