日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 正文

過去から来た女02

时间: 2018-07-30    进入日语论坛
核心提示:2 埋《うも》れた時間 常《つね》石《いし》公《きみ》江《え》は、驚《おどろ》いた様子も見せなかった。 「お帰り」 と、
(单词翻译:双击或拖选)
 2 埋《うも》れた時間
 
 常《つね》石《いし》公《きみ》江《え》は、驚《おどろ》いた様子も見せなかった。
 「お帰り」
 と、ただ肯《うなず》いて、微《ほほ》笑《え》んだ。
 「それじゃ……文《ふみ》江《え》さんですか!」
 警官の方は、仰《ぎよう》天《てん》した様子で、茶《ちや》碗《わん》を手にしたまま、座《すわ》っている。
 「文江です」
 と娘は言った。「長いこと、ご心配かけてすみません」
 「いや……これは……大変だ!」
 「白《しら》木《き》さん」
 と、常石公江が言った。「私《わたし》が申したでしょう。文江は必ず生きている、と」
 「お母さん。——上ってもいい?」
 「ええ、お前の家だもの」
 「入れてくれないかと思ったの」
 と、文江は微《ほほ》笑《え》んだ。
 「そんな、TVドラマに出て来るような母親とは違《ちが》うわよ」
 と公江は言った。「——お父《とう》さんは亡《な》くなりましたよ」
 「知ってるわ」
 と文江は肯《うなず》いた。「この地《ち》域《いき》の新聞を、よく読んでたのよ。まだ、あのときは、とても帰れる状《じよう》態《たい》じゃなくって」
 「いいからお上り。——白木さん、あなたも」
 「はあ……」
 白木巡《じゆん》査《さ》は、まだ狐《きつね》につままれたような顔で、上り込《こ》む。
 「白木さん、大分、髪《かみ》が白くなったわね」
 と、文江が言った。
 「もう七年ですからな。——しかし、どこにおられたんですか?」
 「東京です。一生懸《けん》命《めい》、働いていました」
 「なるほど……」
 長年、ここで働いている、うめが奥《おく》から出て来た。
 「奥様、お風《ふ》呂《ろ》場《ば》の——」
 と言いかけて文江を見る。
 「ただいま、うめ」
 「——お嬢《じよう》様《さま》!」
 「文江、あんまりうめをびっくりさせないで。最近すぐ腰《こし》を抜《ぬ》かすんだから。——ほらね」
 と公江は言って、座《すわ》り込んでしまったうめに笑《わら》いかけた。
 
 
 父の遺《い》影《えい》に手を合せた後、文江は、母の前に座った。
 「——お前が帰って来てくれたのは嬉《うれ》しいけれど」
 と、公江は言った。「お前がいなくなった後のことを、知らないんでしょう?」
 「後のこと?」
 「そう。——恐《おそ》ろしいことが起ったんですよ」
 公江はそう言って、息をついた。
 「恐ろしいことって?」
 「お前は黙《だま》って出て行ってしまったろう。私《わたし》はお前の気持も分っていたし、お前が自殺なんかする娘《むすめ》ではないと知っていましたからね、生きていると信じていたけれど、村の人たちは、お前が死んだと思っているのよ」
 「なぜ?」
 ——白木巡《じゆん》査《さ》が言った。
 「しかも、あなたは殺されたもんだと思っとったんです」
 「殺された?」
 文江は呆《あつ》気《け》に取られていた。「私がどうして……」
 「さあ——今となっては、不思議な気がしますが」
 白木巡査はため息と共に言った。「なぜかあのときは、そんなことになってしまったんですわ」
 「恐《おそ》ろしいこと、っておっしゃいましたね」
 と、文江は言った。「それは、どういう意味ですか」
 「はあ……」
 白木は困《こま》ったように、かなり薄《うす》くなりかけた頭をさわって、公江の方を見た。
 「お嬢《じよう》様《さま》」
 やっと落ち着いた様子のうめが、お茶を運んで来た。「相変らず濃《こ》いお茶をお好《この》みなんでございますか?」
 「そうでもないわ。貧《びん》乏《ぼう》暮《ぐら》しをして、お茶の葉が買えなかったこともあるから、いつも薄くして飲んでたのよ」
 「まあ!」
 と、うめは呆《あき》れたように、「そう言って下されば、お持ちしましたのに」
 と言った。
 公江が苦《く》笑《しよう》して、
 「何を言ってるの。——文江、お腹《なか》は空《す》いていないの?」
 「ええ、大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》」
 「本当にねえ」
 と、うめが独《ひと》り言のように言った。「お嬢《じよう》様《さま》はてっきり坂《ばん》東《どう》のところの息子《むすこ》に殺されなさったと思っていましたよ」
 公江と白木が目を見《み》交《か》わした。
 文江は、うめの顔を見つめた。
 「坂東って……坂東和《かず》也《や》さんのこと?」
 「はい。ご存《ぞん》知《じ》なかったんですか?」
 「和也さんが——私《わたし》を殺したって?」
 文江は、ゆっくりと言って、「どうしてそんなことを……」
 「色々とあったんですよ」
 と白木が言った。
 「そういえば、途《と》中《ちゆう》で見たけど、坂東さんの家は閉《しま》ってしまっていたわね。どこへ行ったの?」
 「分らないのよ」
 と公江は言った。「ご両親は、黙《だま》って村を出て行ってしまった……」
 「そりゃ無《む》理《り》ありませんよ」
 と、うめが口を挟《はさ》んだ。「息子《むすこ》が人殺しと言われて、首をくくってしまったんじゃ、村にはいられませんよ」
 「うめ。あなたは退《さ》がっていなさい」
 「はいはい。では、今夜は久しぶりにお嬢《じよう》様《さま》の好《こう》物《ぶつ》でも作らせていただきましょうかね」
 と、うめが退がって行く。
 「——文江。大《だい》丈《じよう》夫《ぶ》?」
 「ええ……」
 文江は額《ひたい》に手を当てて、目を閉《と》じていたが、やがて、大きく息を吐《は》き出した。「本当なの? 和也さんが……」
 「事実です」
 と白木が言った。「本当に悲《ひ》劇《げき》でしたな、あれは」
 「どうしてそんなことに?」
 と文江は、母と白木を交《こう》互《ご》に見ながら言った。
 「待ちなさい」
 と公江は抑《おさ》えて、「あの朝のことから、順を追って話さなくてはならないわね。——お前がここを出たのは、何時頃《ごろ》だったの?」
 「三時だったわ。——一時過《す》ぎまでは、起きている家もあるし、四時になると起き出す人がいる。だから三時にここを出たの」
 「それからどっちへ向ったの?」
 「駅へ行けば、人目につくに決ってるし、列車に乗るわけにはいかない。知ってる人が大勢いるはずですものね。だから、逆《ぎやく》に、山の方へ歩いて行ったのよ」
 「しかし、凄《すご》い早足でしたな」
 と白木が言った。「山《やま》越《ご》えには、半日かかるでしょう。向うの町には、もう、朝の内に連《れん》絡《らく》が行っとって、山からの道を見《み》張《は》っていてくれたはずでしたが」
 「運が良かったんです」
 と文江は言った。「山へ上る前に、車が一台、村の方から走って来たの。東京の人で、家族で旅行していたんだけど、道に迷《まよ》ってこんな所へ入りこんでしまったのね。で、私《わたし》を見て道を訊《き》いたんです」
 「で、乗せてもらったんですか」
 「ええ。男一人の車なら乗りませんけど、あちらは親子連れでしたから。車はUターンして駅の方へ戻《もど》り、旧《きゆう》道《どう》と川の土手を抜《ぬ》けて、国道へ出たんです」
 「それで東京まで?」
 と、公江が訊《き》いた。
 「そうなの。ともかく、新《しん》宿《じゆく》の駅のところで降《お》ろしてもらったわ。おかげで、列車代が助かって、二、三日は食べていられたの」
 「呆《あき》れたものね。十九歳《さい》の身で、よくそんなことを……」
 と公江は言ったが、怒《おこ》っている様子ではなかった。
 「でも、お母さんに恥《は》ずかしいようなことは、どんなに苦しくてもやらなかったわ。額《ひたい》に汗《あせ》して働いて」
 「そうね。まだ訊いてなかったけど、お前、まだ独《ひと》りなの?」
 「そりゃそうよ。恋《こい》人《びと》ぐらいはいるけれど」
 「子《こ》供《ども》もいないのね」
 「今のところは。そんなことより——」
 「お待ちなさい。どう話したらいいかと思って考えているのよ」
 公江は、ちょっと視《し》線《せん》を宙《ちゆう》にさまよわせて、考えている様子だった……。
 「最初にお前がいないことに気が付いたのは、うめだったわ」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%