日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 正文

過去から来た女05

时间: 2018-07-30    进入日语论坛
核心提示:5 疑《ぎ》 惑《わく》 「お帰り」 と、草《くさ》永《なが》達《たつ》也《や》がグラスを上げた。 「どうも」 文江は、
(单词翻译:双击或拖选)
 5 疑《ぎ》 惑《わく》
 
 「お帰り」
 と、草《くさ》永《なが》達《たつ》也《や》がグラスを上げた。
 「どうも」
 文江は、あまり気のない返事をした。
 「どうしたんだ? あんまり嬉《うれ》しそうじゃないね」
 と草永は言った。
 「どうして嬉しくなきゃいけないの?」
 「ご挨《あい》拶《さつ》だな。恋《こい》人《びと》と別《わか》れてるのが寂《さび》しくて、たった二日で帰って来たんだろ?」
 文江は、ちょっと笑《わら》った。
 「相変らずね」
 「変りっこないじゃないか、前に会ってから、四日しかたってない」
 「ずいぶんたったような気がするわ」
 と、文江は言った。
 銀《ぎん》座《ざ》の地下のレストランだ。小さな店だが、草永の会社が近いので、よくここで待ち合せる。
 草永達也は、広告会社に勤《つと》めている。
 といって、夜も昼もなく飛び回るエリートというわけでなく、至《いた》って呑《のん》気《き》な、庶《しよ》務《む》の人間だった。
 さほど二《に》枚《まい》目《め》でもないが、おっとりした人《ひと》柄《がら》の良さが、競争の社会で疲《つか》れている文江にとって、救いのように感じられる。
 あまり付き合ってスリルのある相手ではないが、何でも打ちあけて話せる男だった。
 「僕《ぼく》も、君がいない間は寂《さび》しかったよ」
 「意味が違《ちが》うのよ」
 と、文江は言った。
 「まあそうがっくりするな。仕方ないじゃないか。七年間、生死不明だったんだ。その内に、お母《かあ》さんの怒《いか》りも解《と》けるよ」
 「違うのよ。そんなことなら、こう深《しん》刻《こく》になりゃしないわ」
 「へえ。何事だい、一体?」
 「とんでもないことになったのよ」
 「もう君に亭《てい》主《しゆ》がいたとか?」
 「まさか」
 と、文江は苦《く》笑《しよう》した。
 食事をしながら、文江は一部始終を話して聞かせた。
 「そいつは辛《つら》いね」
 と、草永は言った。
 「そう。——いやになっちゃうの、分るでしょ?」
 「うん。しかし……」
 「私《わたし》、必ず、真相を暴《あば》いてやるわ」
 「つまり、君の部《へ》屋《や》が荒《あら》されていたことと——」
 「書き置きが消えていたことよ」
 「それに、その男——和也といったっけ? 彼《かれ》の言うこともおかしいね」
 「どうして?」
 「包丁の話、手《て》拭《ぬぐ》いの話、どれも本当とは思えないよ」
 「そうねえ……」
 「彼には彼で、何か、隠《かく》していることがあったんだ。——例の焼いた跡《あと》のことだって、彼の話じゃ解《かい》決《けつ》できないじゃないか」
 「それもそうね」
 「彼はやっぱり、何《ヽ》か《ヽ》やったんだと思うね、僕《ぼく》は」
 「何を?」
 「誰《だれ》かを殺して、埋《う》めたのさ」
 「まさか!」
 「他に考えられるかい? 起《き》訴《そ》するには死体が見つからないと無《む》理《り》だけど、状《じよう》況《きよう》証《しよう》拠《こ》は充《じゆう》分《ぶん》だよ」
 「でも、誰を?」
 「そりゃ分らないさ」
 「行方《ゆくえ》不明になれば、誰かが届《とど》け出るでしょう」
 「どうかな」
 「だって——」
 「考えてみろよ」
 と、草永は言った。「君だって、通りすがりの車に乗って東京へ出て来た。どこかの女の子が、町から山道へ迷《まよ》い込《こ》んで、困《こま》っている。そこへその、和也が通りかかって、村まで案内しよう、と言い出す」
 「それで?」
 「途《と》中《ちゆう》、色々話をするだろう。女の子は家出して来たと分る。しかも、かなり遠くから来ている。——暗い山中で、二人きりだ。和也が、妙《みよう》な気を起こしてもおかしくない」
 「やめてよ。幼《おさ》ななじみなのよ」
 「だが君は女で、僕《ぼく》は男だ。男のことは、僕の方が良く分る。十九歳《さい》は、体が大人《おとな》で、まだそれを制《せい》御《ぎよ》し切れない年《ねん》齢《れい》だよ」
 「でも殺すなんて……」
 「殺す気だったのかどうかね。乱《らん》暴《ぼう》するだけのつもりだったかもしれない。でも女の子の方が、大人《おとな》しくしていなかった。隙《すき》を見て彼の荷の中にあった包丁をつかんで——」
 「逆《ぎやく》に刺《さ》された……」
 「ほんのはずみだったかもしれないよ」
 文江は、じっと草永を眺《なが》めて、
 「見て来たようなことを言うのね」
 「可《か》能《のう》性《せい》さ。——ともかく、何かあったことは確《たし》かだと思うね」
 草永はそう言って食事を続けた。
 「あなたって、割《わり》合《あい》に鋭《するど》いのね」
 「割合に、はないぜ」
 と、草永は言った。「——本当に、やるのか?」
 「事《じ》件《けん》のこと? そうよ」
 「やめといた方がいいと思うけど……。まあ言ってもむだだろうね」
 「むだよ」
 と文江は言った。「考えてみてよ。人一人、私《わたし》のために死んでいるのよ」
 「うん、分る」
 と、草永は言った。「ワイン一本分には充《じゆう》分《ぶん》相当するよ」
 「同感だわ」
 文江はワインのグラスをぐいっとあけた……。
 
 
 「——今夜は帰るの?」
 と、文江はベッドの中から言った。
 「いや、泊《とま》ってもいい。でも君の気持次《し》第《だい》だな」
 「そう」
 文江は裸《はだか》の腕《うで》をのばして、草永を抱《だ》き寄《よ》せた。「——私はあなた次第よ」
 二人の唇《くちびる》が絡《から》むように触《ふ》れ合う。
 そこへ、チャイムが鳴った。
 「——誰《だれ》だい?」
 「さあ、分らないわ。もう十一時ね。——こんな時間に……」
 「出てみろよ。何か着てね」
 「当り前でしょ」
 と、文江は言って、ベッドから出ると、裸《ら》身《しん》にガウンをまとった。
 インタホンで、
 「どなた?」
 と声をかける。
 「警《けい》察《さつ》の者です」
 と、返事があった。
 文江は、草永の方へ肩《かた》をすくめて見せ、玄《げん》関《かん》へ出て行った。
 チェーンをしたまま、細く開けてみる。
 「ええと……常石文江さんですか」
 「はあ」
 「実はちょっとお話が……」
 どこかで聞いた声だ、と思って、文江は首をかしげた。
 ともかく中へ入れる。
 「夜分、申し訳《わけ》ありません」
 居《い》間《ま》へ入って、明るい光の下に立つと、やっと分った。
 「ああ、あの、バイクでひっくり返ってた方ですね!」
 「え?——じゃ、あなたが、あのときの……」
 男は照れくさそうに頭をかいた。
 「——じゃ、県《けん》警《けい》の刑《けい》事《じ》さんなんですか」
 と、草永の淹《い》れてくれたコーヒーを飲みながら、文江は言った。
 「はあ。室《むろ》田《た》といいます」
 刑《けい》事《じ》はそう言って、「いや、てっきりお一人と思ったので……。お邪《じや》魔《ま》をして申し訳ありませんね」
 「いや、いいんですよ」
 と、草永が気楽に言った。「朝までは長いですからね」
 「いや、お若《わか》い方々は羨《うらやま》しい」
 と、室田刑事は言った。
 「で、どういうご用でおいでになったんでしょう?」
 「あなたが行方《ゆくえ》不明になって、坂東和也という若《わか》者《もの》が捕《つか》まった。——ご存《ぞん》知《じ》ですね?」
 「はい。母から昨日、初めて聞きましたわ」
 「そのとき、彼《かれ》を調べたのが、私だったのですよ」
 「まあ」
 「もちろん私一人ではありません」
 と、室田刑事は続けた。「何人かの同《どう》僚《りよう》は、彼がクロに違《ちが》いない、と言っていました。しかし、私はシロだと思っていたのです」
 「そうでしたか」
 「結局、彼の自殺で、たぶんクロだったのだろう、ということになって、それきり終ってしまったのですが、ずっと気になっていたのです」
 「そこへ私《わたし》が帰ったので……」
 「ええ、それを聞いて、駆《か》けつけたんです。ところが、あなたはもういらっしゃらなくて」
 「それはすみませんでした」
 「いや、あのときに気が付いても良かったんですよ」
 と室田刑《けい》事《じ》は、ちょっと照れたように笑《わら》った。
 「——で、私に何のお話だったんでしょうか?」
 「あなたが、どうやって村を出られたのか、うかがいたかったのです」
 「それは——」
 文江は、母に話した説明をくり返した。
 「すると山の方へは行かなかったんですね」
 「ええ。行きかけて、車が来たので、やめたんです」
 「山道を行けば、途《と》中《ちゆう》で、坂東和也に会っていたでしょうね」
 そう言われて、文江は、ちょっとハッとした。
 「そうですね。考えてもみませんでした」
 「実は、私にも、あの和也という若《わか》者《もの》の言うことは信用できないんですよ。しかし、あなたを殺してはいない。——そうなると、あの若者は、なぜ、あんなでたらめを言ったのでしょう?」
 文江は、ちょっと草永の方を見た。
 「——分りませんわ」
 「ともかく、彼には、隠《かく》したいことがあったのです」
 「それは分ります」
 「しかし、そのおかげで、彼は殺人の容《よう》疑《ぎ》をかけられている。——それほどまでにして、隠していた秘《ひ》密《みつ》は何だったのでしょう?」
 「別の殺人だったのじゃありませんか?」
 と、草永が言った。
 「鋭《するど》いですな」
 と、室田刑事が肯《うなず》く。「私もそう考えました。しかし、あの夜、確《たし》かに、彼は、町から出て山道を村に回っています。途中、誰《だれ》か女と会って、殺したとして、その死体をどこかへ埋《う》める——近くではないのですよ。あの辺一帯を捜《さが》したのですからね。そして、服を焼く。それだけのことをやる時間が、あったでしょうか?」
 「なるほど」
 「しかも、まだ暗い中でです。そして、包丁と手《て》拭《ぬぐ》いの件《けん》……。埋《う》めるなら、なぜそれも一《いつ》緒《しよ》に埋めてしまわなかったのか?」
 「分りませんわ」
 と文江は首を振《ふ》った。
 「つまりですね、彼は殺したかのような痕《こん》跡《せき》を、作っていたのではないか、と私は思っているのですよ」
 と、室田刑《けい》事《じ》は言った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%