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塔上的奇术师-齿轮背后

时间: 2022-01-15    进入日语论坛
核心提示:大時計の怪 それから二週間ほど、なにごともなくすぎさりました。そのある日のこと、時計塔のある西洋館にすんでいる園田ヨシ子
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大時計の怪


 それから二週間ほど、なにごともなくすぎさりました。そのある日のこと、時計塔のある西洋館にすんでいる園田ヨシ子ちゃんは、学校から帰って、自分の勉強べやで宿題をやったあとで、双眼鏡をもって、時計塔にのぼりました。いちばん上は大時計の機械室ですから、そのすぐ下の部屋までいって、窓から外のけしきをながめようと思ったのです。
 そこまでのぼりますと、林をこして、お友だちの淡谷スミ子ちゃんのおうちも見えるのです。そこまでは三百メートルもへだたっていますが、双眼鏡でのぞけば、どうかすると、スミ子ちゃんが、おうちの二階から、こちらを見ていることがあります。
 スミ子ちゃんも、双眼鏡を持っていますから、おたがいに双眼鏡をのぞきあって、ハンカチをふって信号をして、話しあうことができるのです。ハンカチのふりかたで、いろいろないみをきめておいて、話しあうのです。
 きょうも、スミ子ちゃんが、窓からこちらを見ていてくれればいいがと思いながら、塔の階段をのぼって、三階までいきますと、だれか、人のいるけはいがしました。
 塔は、いちばん上の時計室をいれて、五階ですから、あと一階で、窓をのぞく部屋にいけるのですが、その一つ下の三階に、だれかがいるようすなのです。
 ヨシ子ちゃんが、階段から三階の部屋をのぞくと、なんだか、まっ赤なものが、四階の階段のほうへ、スウッと消えていったような気がしました。
「アラッ、だれでしょう? おにいさまかしら。でも、おにいさまは、あんな服なんか、きていないわ。」
 そう思いながら、四階への階段の下までいって、上を見ますと、その階段の上から、人の顔がのぞいていました。
 アッ、あの顔です。
 見おぼえのある、あのきみのわるい顔です。
 赤白だんだらの、とんがり帽子をかぶって、まっ白におしろいをぬり、くちびるをまっ赤にそめて、両方のほおに、赤いまるをかいた、あの道化師の顔です。
 ヨシ子ちゃんは、ゾウッとして、身うごきもできなくなりました。叫ぼうとしても、声が出ないのです。
 道化師の顔は、ヨシ子ちゃんを見て、にやりと笑いましたが、そのまま、スウッと、階段の上から消えていきました。
 あいてが見えなくなったので、ヨシ子ちゃんは、やっと、足が動くようになりました。夢中で、三階から二階へ、二階から一階へと、階段をかけおりました。そして、廊下を走っていきますと、むこうからきた、にいさんの丈吉君とぶっつかりました。
「おい、ヨシ子。どうしたんだ。まっ青な顔をして……。」
「アッ、おにいさま、たいへんよ。時計塔に、道化師がいるわ。ほら、このあいだスミ子ちゃんをさらっていった、あの道化師とそっくりのやつよ。」
 ヨシ子ちゃんは、息をきらせていうのでした。
「なんだって? あいつが時計塔にいるんだって? よしッ、ぼくが見てやる。」
 丈吉君は、そういって、いきなり階段のほうへかけだすのでした。
 時計塔は五階になっていて、四階までは、ふつうの小部屋ですが、いちばん上の五階は、部屋ぜんたいが、大時計の機械室になっているのです。丈吉君は、四階までの部屋をみんなしらべましたが、道化師のすがたはありません。きっと、五階の機械室にかくれているのでしょう。
 四階から五階への階段を、そっと足音をしのばせてのぼっていき、階段の上から首をのばして機械室をのぞいてみました。
 そこは、部屋ぜんたいが、時計の機械でいっぱいになっています。柱かけの時計の機械を、何千倍にしたような、大きな歯車がかみあい、巨大なふりこが、ゆっくりとゆれていました。
 今でしたら、電気で動かすのですが、この大時計は、ずっとむかしにできたものですから、鋼鉄のぜんまいの力で動いているのです。ぜんまいといっても、びっくりするほどあつくて、はばのひろい、鋼鉄の板がまいてあって、それがほどけていく力で、ふりこが動き、針が回るのです。
 いちばん大きい歯車は、さしわたし一メートルちかくもあります。それから、中くらいの歯車、小さい歯車と、いろいろな形の歯車が、あるものは、はやく、あるものは、ゆっくりと、みんな生きているように、動いているのです。
 歯車と歯車のあいだには、すきまがありますので、そのすきまを、あちこちと見ていますと、チラッと、赤いものが動きました。
 丈吉君は、それを見て、ドキッとしました。その赤いものは、道化師の服に、ちがいないからです。
 息をころして、じっとしていますと、ちがったすきまから、また、赤いものが、チラッと見えました。
「こらッ、そこにいるのは、だれだッ!」
 丈吉君は、思いきって、どなってみました。
 しいんと、しずまりかえっています。あいても、息をころして、ようすをうかがっているのでしょう。
「だれだッ。こっちへ出てこい。」
 もういちど、どなってみました。しかし、なんの答えもありません。
 ふつうの少年でしたら、もう、こわくなって、逃げだすところですが、丈吉君はだいたんな少年ですから、逃げだしません。あやしいやつをつかまえてやろうと、決心したのです。
 そっと階段をのぼりきって、機械室にはいりました。そして歯車と歯車のすきまに目をあてて、むこうをのぞいてみました。
 歯車が、いくえにもかさなりあっているので、ギザギザした、ごくせまいすきまです。
 そのすきまのむこうが、なにかにおおわれて、暗くなっていました。じっと見ていますと、それが、ぱちぱちと、またたきをしたではありませんか。
 人間の目です。大きな目がこちらを、にらんでいるのです。
 丈吉君は、ゾウッとしてしまいました。道化師のほうでも、むこうから、丈吉君をのぞいているらしいのです。
 おたがいに、しばらくのあいだ、にらみあったまま、じっとしていましたが、道化師のほうが、スウッと、すきまからはなれていきました。
 どこかへ、逃げるつもりかもしれません。
 丈吉君は、勇気をふるって、歯車のむこうがわへ回っていきました。
 その部屋は歯車でいっぱいになっていましたが、すみのほうに、人間のとおれるほどの通路があるのです。
 回っていって、歯車のかどから、そっと、むこうがわをのぞいてみました。
 だれもいません。どこかへ、かくれてしまったのです。

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