店員:どこが悪いのですか。
客:ねじをいっぱいに巻いたのに、一向に動かないのです。時々ちょっと振ると動きだすのですが、またすぐ止まってしまうんです。
店員:前はどうでしたか。
客:二、三日前から、進んだり「早くなったり」、遅れたり「遅くなったり」して、どうも調子が悪いんです。
店員:一日にどのぐらい狂いますか。
客:それは決まっていないんです。あるときは二分も三分も早いし、ある時は10分も遅れたりします。
店員:じゃ、中を調べてみましょう……今のとこるたいした故障は見つかりませんが、たぶんほこりが入っていますから、分解して掃除しなければなりませんね。
客:そうですか。忙しさに紛れて。長いこと掃除していませんでした。では、お願いします。
店員:普通の腕時計は、少なくとも一年に一回分解掃除しなければなりません。でないと、だいぶほこりが入ったり、汚れたりします。
客:はい、わかりました。
店員:別に常はありません。油を注すとよくなります。
客:道理で止まってしまったわけですね。油を注すのを忘れていました。
店員:ああ、やはり故障は発条にありますね。
客:ねじが切れたということですか。それでは新しいのと交換することをお願いします。
客:昨日うっかりして。この腕時計を机の上から床に落としてしまいました。幸い別に故障は起こらなかったんですが。文字盤にひびが入ってしまったんです。それを換えてもらえませんか。
店員:すみませんが。ここはねじやバンドなどしか用意していませんから。明日うちから新しい文字盤を持ってきて修理いたしますが。よろしいですか。
客:そうですね。じゃ。お願いします。明日何時に取りに来たらいいですか。
店員:午前10時ごろおいでください。
客:では。明日その時間に来ますので。よろしくお願いします。
店員:承知しました。
客:この腕時計はどこから故障したみたいなんですが。開けて調べてくれますか。
店員:おや。ずいぶん古いものですね。いつお買いになりましたか。
客:もう18年も使っているんです。
店員:今まで一度も故障しなかったんですか。
客:いえ。何度も壊れて何度も直しました。
店員:今はね。この時計はもう修繕がきないというわけでもありませんが。やっぱり新しいのを買った方がとくかもしれませんね。
客:そうですか。そんなら。新しいのを買いましょう??ご迷惑をかけました。
店員:どういたしまして。