盗っ人小僧
盗贼小子
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
很久很久以前,有个很聪明的孩子叫彦一。
ある日の事、彦一は殿さまのお使いで、船に乗って遠くの島に行く事になりました。
有一天,彦一被老爷派出去,坐船去远处的岛上。
そしてその夜は、船で寝る事になりました。
然后那天晚上在船上睡觉。
(さて、そろそろ寝るとするか)
(那么,差不多该睡觉了吧)
と、思ったその時、
这样想着的时候
「海賊だー!」
“我是海贼!”
と、言う叫び声がしました。
有这样的叫声。
海を見てみると、手に手に武器を持った海賊が乗る海賊船が、もう間近まで迫っています。
看看大海,手里拿着武器的海盗乘坐的海盗船已经逼近了。
「大変だー! 奴らに身ぐるみはがされるぞ!」
“不得了啦!他们会把你杀掉的!”
「大切な物を早く隠すんだ!」
“快点把重要的东西藏起来!”
お客たちは持っている金や大切な物を、どこに隠そうかと大騒ぎです。
客人们拿着的钱和重要的东西,不知道藏在哪里而大吵大闹。
でもどこに隠そうと、海賊は隠した物を見つけてしまうでしょう。
但是不管藏在哪里,海盗都会找到藏起来的东西吧。
そこで彦一は台の上に乗って、大きな声で言いました。
于是彦一坐在台上,大声地说。
「みんな、落ちついて! 海賊はどこに隠しても見つけてしまいます。ですから、お金は少しだけ自分のふところに入れて、あとは全部わたしに預けて下さい。わたしが必ず、海賊からお金を守りますから」
“大家都冷静下来!藏在哪里都能被海盗找到。所以,请把少少的钱放在自己的钱包里,剩下的全部交给我保管。我一定会保护钱不受海盗的侵害的。”
彦一が自信たっぷりに言うので、お客たちはワラにもすがる思いで彦一にお金を預けました。
因为彦一充满自信地说,所以客人们也抱着依靠稻草的想法把钱寄存在彦一身上。
「わかった。お前に任そう」
「好的,就交给你了。」
すると彦一はお金を少しずつ袋(ふくろ)に分け、見ただけでは分からない様に着物のあちこちに隠しました。
彦一把钱一点一点地用袋子装好,为了不让人一看就知道,把钱藏在了衣服里。
そしてお客に頼んで、柱に体をグルグル巻きにしばりつけてもらいます。
然后拜托客人,把身体绑在柱子上。
それからしばらくして船に乗り込んで来た海賊の親分(おやぶん)は、お客から財布(さいふ)を取り上げにかかりました。
过了一会儿,坐上船来的海盗头目,从客人手中接过钱包。
「よしよし、素直に従えば、乱暴はしないからな」
“好吧好吧,既然这么顺从,就不会粗暴的对待你们了。”
そして柱にしばられた彦一に気づいて、親分は声をかけました。
然后注意到被柱子绑住的彦一,老大跟他打招呼。
「小僧! そのざまはどうした?」
“小鬼!这是怎么了?”
すると彦一はうそ泣きをして、目に涙を浮かべます。
于是彦一假哭,眼里浮现出眼泪。
「おら、みなし子で、腹が減ってたまらねえから、船に忍び込んで客の財布を盗もうとしただ。だども見つかって、一文も取らねえうちに捕まってしもうただ」
“我是个孤儿,肚子饿得不得了,所以想潜入船上偷客人的钱包。但是被发现了,一文也没拿就被抓住了。”
それを聞いた親分は、ニヤリと笑うと、
听到这句话的老大笑了笑
「小僧のくせに盗みに入るとは、大した奴だな。だが、この船の客はみんな貧乏人ばかりで、大した稼ぎにはならねえ。お互い、今度はもっと金持ちを狙うとしよう」
“小字还敢偷盗,真是个了不起的家伙。但是,这艘船上的客人都是穷人,赚不了多少钱。我们下次再瞄准有钱人吧。”
親分はそう言いながら、子分とともに自分の船に戻っていきました。
老大一边这样说着,一边和手下一起回到了自己的船上。
その後、お金も少し取られただけで済んだお客たちは、かしこい彦一にとても感謝したという事です。
之后,只拿了一点钱就结束了的客人们,非常感谢聪明的彦一。