そのパーティーは王子の誕生パーティーだったのです。
「すてきな王子様。」人魚姫は夜になっても、波の間からうっとりと王子の様子を見つめていました。
と、突然、海の景色が変わりました。稲光が走ると、風が吹き波がうねり始めたのです。
水夫たちが慌てて帆を畳みますが、嵐はますます激しくなると、船は見る間に横倒しになってしまいました。人々が海に放り出されます。
「大変!王子様!」人魚姫は大急ぎで王子の姿を探し出すと、ぐったりしている王子の体を抱いて、浜辺へと運びました。
「王子様、しっかりして。王子様。」人魚姫は王子様を懸命に看病しました。気がつくと、朝になってまし
た。そこへ、若い娘が走ってきます。
「あ、いけない。」人魚姫はビックリして海に身を隠しました。すると、娘は王子に気がついて、慌てて人
を呼びます。王子はそのとき、息を吹き返しました。
「あ、ありがとう。あなたがわたしを助けてくれたんですね。」王子はそして目の前にいる娘を、命の恩人と勘間違いし
てしまいました。