これはまあ男性同士(女性も何のことかは分かりますよね?)、あはは、ありますよね、と笑い合えばそれでよい句、と作者も言うと思うのだけれども・・・。ズボンのファスナーから、「不時着」という言葉へと跳ぶ、その跳躍が楽しい。しかし、わが身の体験をよくよく思い出してみると、用が済んでさっそうと立ち去ろうとしたのについ挟んでしまって、ああ・・・と身を屈めるあの感じは確かに「不時着」そのものだ。こういうのも写生、というか、こうした驚きがありながらムリのない把握こそが本当の写生の技術なのだろう。
ファスナーが噛んで不時着してしまう