ロンは、魔ま法ほう戦士せんしの一団を案内してテントに入った。そこへルーナが走ってきた。
「こんにちは、ハリー」ルーナが言った。
「あー――僕の名前はバーニーだけど」ハリーは度肝どぎもを抜かれた。
「あら、名前も変えたの」ルーナが明るく聞いた。
「どうしてわかったの――」
「うん、あんたの表情」ルーナが言った。
ルーナは父親と同じ、真っ黄色のローブを着ていた。髪かみには大きなひまわりをつけて、アクセサリーにしている。眩まぶしい色彩に目が慣れてくれば、全体的にはなかなか好感が持てた。少なくとも、耳たぶから赤あか蕪かぶはぶら下がっていない。
知人との会話に夢中になっていたゼノフィリウスは、ルーナとハリーのやり取りを聞き逃していた。話し相手の魔法使いに「失礼」と挨あい拶さつをして、ゼノフィリウスは娘のほうを見た。娘は指を挙あげて見せながら言った。
「パパ、見て――庭にわ小こ人びとがほんとに噛かんだよ」
「すばらしい 庭小人の唾液だえきはとても有益なんだ」
ラブグッド氏はルーナが差し出した指をつかんで、血の出ている噛み傷を調べながら言った。
「ルーナや、もし今日突然新しい才能が芽め生ばえるのを感じたら――たとえば急にオペラを歌いたくなったり、マーミッシュ語で大だい演えん説ぜつしたくなったら――抑えつけるんじゃないよ ゲルヌンブリの才能を授さずかったかもしれない」
ちょうどすれ違ったロンが、プーッと吹き出した。
「ロンは笑ってるけど」ハリーがルーナとゼノフィリウスを席まで案内したとき、ルーナがのんびりと言った。「でもパパは、ゲルヌンブリの魔法について、たくさん研究したんだもン」
「そう」ハリーはもうとっくに、ルーナやその父親の独どく特とくな見方には逆さからうまいと決めていた。「でもその傷、ほんとに何かつけなくてもいいの」
「あら、大丈夫だもン」ルーナは夢見るように指を舐なめながら、ハリーを上から下まで眺ながめて言った。「あんた素敵すてきだよ。あたしパパに、たいていの人はドレスローブとか着てくるだろうって言ったんだ。だけどパパは、結婚式には太陽の色を着るべきだって信じてるの。ほら、縁起えんぎがいいもン」
ルーナが父親のあとに従ついてどこかに行ってしまったあとに、年老いた魔女に腕をがっちりつかまれたロンが再び現れた。鼻は嘴くちばしの形で目の周りが赤く、羽は根ねのついたピンクの帽子ぼうしを被かぶった魔女の姿は、機嫌きげんの悪いフラミンゴのようだ。