「グリンデルヴァルドはたくさんの人を殺した。ヴぉくの祖そ父ふもだ。もちろん、あいつはこの国では一度も力を振ふるわなかった。ダンブルドアを恐れているからだと言われてきた――そのとおりだ。あいつがどんなふうに滅ほろびたかを見れヴぁわかる。しかし、あれは――」クラムはゼノフィリウスを指差した。「あれは、グリンデルヴァルドの印だ。ヴぉくはすぐわかった。グリンデルヴァルドは、生徒だったときにダームストラング校のかヴぇにあの印を彫ほった。ヴァかなやつらが、驚かすためとか、自分を偉く見せたくて、本や服にあの印をコピーした。ヴぉくらのように、グリンデルヴァルドのせいで家族を失った者たちが、そういう連中を懲こらしめるまでは、それが続いた」
クラムは拳こぶしの関かん節せつを脅おどすようにポキポキ鳴らし、ゼノフィリウスをにらみつけた。ハリーはこんがらがった気持だった。ルーナの父親が闇やみの魔術まじゅつの支持者など、どう考えてもありえないことのように思えた。その上、テント会場にいるほかの誰も、ルーン文字のような三角形を見咎みとがめているようには見えない。
「君は――えーと――絶対にグリンデルバルドの印だと思うのか」
「間違いない」クラムは冷たく言った。「ヴぉくは、何年もあの印のそヴぁを通り過ぎてきたんだ。ヴぉくにはわかる」
「でも、もしかしたら」ハリーが言った。「ゼノフィリウスは、印の意味を実は知らないかもしれない。ラブグッド家の人はかなり……変わってるし。十分ありうることだと思うけど、どこかでたまたまあれを見つけて、しわしわ角づのスノーカックの頭の断だん面めん図ずか何かだと思ったかもしれない」
「何の断面図だって」
「いや、僕もそれがどういうものか知らないけど、どうやらあの父娘おやこは休暇きゅうか中にそれを探しにいくらしい……」
ハリーは、ルーナとその父親のことを、どうもうまく説明できていないような気がした。