「しかし、どうやってそんなに早く見つけたのだろう 姿を消す瞬間しゅんかんに捕まえていなければ、『姿くらまし』した者を追跡ついせきするのは不可能だ」
「それに、そのとき二人が偶ぐう然ぜんトテナム・コート通りを散歩していたなんて、ありえないでしょう」ハリーが言った。
「私たち、疑ったの」
ハーマイオニーが遠えん慮りょがちに言った。
「ハリーがまだ『臭におい』をつけているんじゃないかって」
「それはないな」ルーピンが言った。
ロンはそれ見ろという顔をし、ハリーは大いに安心した。
「ほかのことはさておき、もしハリーにまだ『臭い』がついているなら、あいつらはここにハリーがいることを必ず嗅かぎつけるはずだろう しかし、どうやってトテナム・コート通りまで追ってこられたのかが、私にはわからない。気がかりだ。実に気になる」
ルーピンは動どう揺ようしていた。しかし、ハリーにとってはその問題は後あと回まわしでよかった。
「僕たちがいなくなったあと、どうなったか話して。ロンのパパが、みんな無事だって教えてくれたけど、そのあと何にも聞いていないんだ」
「そう、キングズリーのおかげで助かった」ルーピンが言った。「あの警けい告こくのおかげで、ほとんどの客は、あいつらが来る前に『姿くらまし』できた」
「死し喰くい人びとだったの それとも魔ま法ほう省しょうの人たち」ハーマイオニーが口を挟はさんだ。
「両方だ。というより、いまや実質的に両者にはほとんど違いがないと言える」
ルーピンが言った。
「十二人ほどいたが、ハリー、連中は君があそこにいたことを知らなかった。アーサーが聞いた噂うわさでは、あいつらは君の居場所を聞き出そうとして、スクリムジョールを拷ごう問もんした上、殺したらしい。もしそれが本当なら、あの男は君を売らなかったわけだ」
ハリーはロンとハーマイオニーを見た。二人ともハリーと同じく、驚きと感かん謝しゃが入り交まじった顔をしていた。ハリーはスクリムジョールがあまり好きではなかったが、ルーピンの言うことが事実なら、スクリムジョールは最後にハリーを守ろうとしたのだ。