「これ、魔ま法ほう省しょうの、あのパーキンズって人のものじゃないのかな」
テントのペグの絡からまりを解ときほぐしながら、ハリーが聞いた。
「返してほしいと、思わなかったみたい。腰痛があんまりひどくて」
ハーマイオニーは、次には杖つえでの字を描く複雑ふくざつな動きをしながら言った。
「だから、ロンのパパが、私に使ってもいいっておっしゃったの。エレクト 立て」
最後にハーマイオニーは、ぐしゃぐしゃのテント布に杖を向けて唱えた。すると、流れるような動きでテントが宙ちゅうに昇り、ハリーの前に降おりて、完全なテントが一気に建ち上がった。そして、ハリーの持っているテントのペグが一本、あっという間に手を放はなれて、張り綱の先端せんたんにドスンと落ちた。
「カーベ イニミカム 敵を警戒けいかいせよ」
ハーマイオニーは、仕上げに天に向かって華はなやかに杖を打ち振ふった。
「私にできるのはここまでよ。少なくとも連中がやってきたらわかるけど、保証ほしょうできないのは、果たしてヴォル――」
「その名前を言うなよ」ロンが厳きびしい声で遮さえぎった。
ハリーとハーマイオニーは顔を見合わせた。
「ごめん」
ロンは、小さくうめきながら体を起こし、二人を見て謝あやまった。
「でも、その名前はなんだか、えーと――縁起えんぎが悪いと言うか、そんな感じがするんだ。頼むから『例のあの人』って呼べないかな――だめ」
「ダンブルドアは、名前を恐れれば――」ハリーが言いかけた。
「でもさ、いいか、念のため言うけど、『例のあの人』を名前で呼んだって、最終的にはダンブルドアの役には立たなかったぜ」ロンが噛かみつき返した。「とにかく――とにかく『例のあの人』に尊敬のかけらぐらい示してくれないか」
「尊敬」
ハリーが言い返そうとした。しかし、ハーマイオニーがだめよという目つ�(4)