多くのダンブルドア崇すう拝はい者しゃにとっては愕然がくぜんとさせられる驚きの手紙であろうが、これこそが、かつてアルバス・ダンブルドアが「秘密ひみつ保ほ持じ法ほう」を打ち壊こわし、魔法使いによるマグルの支配を打ち立てようと夢見た証あかしなのである。ダンブルドアこそマグル生まれのもっとも偉大いだいな闘士とうしであると、常にそのイメージを描いてきた人々にとっては、なんたる打撃だげき マグルの権利を振興しんこうする数々の演えん説ぜつが、この決定的な新しん証しょう拠この前で、なんと虚むなしく響ひびくことか 母親の死を嘆なげき、妹の世話をしているべき時期に、自みずからが権力の座に上る画策かくさくに励はげんでいたアルバス・ダンブルドアが、いかに見下げ果てた存在に見えることか
是が非でもダンブルドアを崩くずれかけた台座だいざに載のせておきたい人々は、結局ダンブルドアがこの計画を実行に移さなかったと、女め々めしい泣き言を言うに違いない。ダンブルドアの考えが変わって、正気に戻ったと戯言たわごとを言うに違いない。しかし、どうやら真実はこれよりもっと衝しょう撃げき的てきなのだ。
すばらしい新しい友情から二か月も経たたないうちに、ダンブルドアとグリンデルバルドは別れ、あの伝説の決闘けっとうまでは互いに二度と会うことはなかったのだ決闘については22章を参照さんしょう。突然の決裂けつれつはいったい何故なにゆえだったのか ダンブルドアが正気に戻ったのか グリンデルバルドに対して、もはや彼の計画に加わりたくないと言ったのか 嗚あ呼あ、そうではなかった。
「それは、かわいそうなアリアナちゃんが死んだせいだったろうねぇ」バチルダはそう言う。「恐ろしいショックだった。ゲラートはそのとき、ダンブルドアの家にいたのだが、それこそうろたえて家に戻ってきよってな、私に、翌日家に帰りたいと言ってきた。そりゃあ、ひどく落ち込んでいてねぇ。そこで私は移動ポートキーを手配したのだが、それっきりあの子には会ってないのだよ」