ハーマイオニーは、見たくもないと思っているハリーの目の前に、「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘うそ」を突き出した。そこには、ダンブルドアがグリンデルバルドに宛あてた手紙の写真が載のっていた。あの見慣れた細長い斜めの文字だった。間違いなくダンブルドアが書いたものであり、リータのでっち上げではないという証拠しょうこを見せつけられるのは、いやだった。
「署しょ名めいよ」ハーマイオニーが言った。「ハリー、署名を見て」
ハリーは言われるとおりにした。一瞬いっしゅん、ハーマイオニーが何を言っているのかさっぱりわからなかったが、杖つえ灯あかりをかざしてよく見ると、ダンブルドアは、アルバスの頭かしら文も字じの「」の代わりに、「吟遊詩人ビードルの物語」に描かれているのと同じ三角印のミニチュア版を書いていた。
「えー――君たち何の話を――」ロンが恐る恐る聞きかけたが、ハーマイオニーはひとにらみでそれを押さえ込み、またハリーに話しかけた。
「あちこちに、これが出てくると思わない」ハーマイオニーが言った。「これはグリンデルバルドの印だと、ビクトールが言ったのはわかっているけど、でも、ゴドリックの谷の古い墓にも間違いなくこの印があったし、あの墓石ぼせきはグリンデルバルドの時代じだいよりずっと前だわ それに、こんどはこれ でもね、これがどういう意味なのか、ダンブルドアにもグリンデルバルドにも聞けないし――グリンデルバルドがまだ生きているかどうかさえ、私は知らないわ――でも、ラブグッドさんなら聞ける。結婚式で、このシンボルを身につけていたんですもの。これは絶対に大事なことなのよ、ハリー」
ハリーはすぐには答えなかった。やる気十分の、決けつ然ぜんとしたハーマイオニーの顔を見つめ、それから外の暗くら闇やみを見ながら考えた。しばらくして、ハリーが言った。
「ハーマイオニー、もうゴドリックの谷の二にの舞まいはごめんだ。自分たちを説得してあそこに行ったけど、その結果――」
「でもハリー、この印は何度も出てくるわ ダンブルドアが私に『吟遊詩人ビードルの物語』を遺のこしたのは、私たちに、この印のことを調べるようにっていう意味なのよ。違う」
「またか」ハリーは少し腹が立った。「僕たち、何かというと、ダンブルドアが秘密の印とかヒントを遺してくれたに違いないって、思い込もうとしている――」
「『灯ひ消けしライター』は、とっても役に立ったぜ」ロンが急に口を挟はさんだ。「僕は、ハーマイオニーが正しいと思うな。僕たち、ラブグッドに会いにいくべきだと思うよ」
ハリーは、ロンをにらんだ。ロンがハーマイオニーの味方をするのは、三角のルーン文字の意味を知りたい気持とは無関係だと、はっきりわかるからだ。
「ゴドリックの谷みたいには、ならないよ」ロンがまた言った。「ラブグッドは、ハリー、君の味方だ。『ザ・クィブラー』は、ずっと君に味方していて、君を助けるべきだって書き続けてる」