とたんにハリーの頭に、パッと閃ひらめくものがあった。ペベレルの姓を聞いたときに揺ゆすぶられた記憶だ。魔法省の役人の鼻先で、醜みにくい指輪を見せびらかしていた汚らしい老人――。
「マールヴォロ・ゴーント」ハリーは叫さけんだ。
「えっ」ロンとハーマイオニーが同時に聞き返した。
「マールヴォロ・ゴーントだ 『例のあの人』の祖そ父ふだ 『憂うれいの篩ふるい』の中で ダンブルドアと一いっ緒しょに マールヴォロ・ゴーントが、自分はペベレルの子孫だと言ってた」
ロンもハーマイオニーも、当とう惑わくした顔だった。
「あの指輪。分ぶん霊れい箱ばこになったあの指輪だ。マールヴォロ・ゴーントが、ペベレルの紋章もんしょうがついていると言ってた 魔法省の役人の前で、ゴーントがそれを振って見せていた。ほとんど鼻の穴に突っ込みそうだった」
「ペベレルの紋章ですって」ハーマイオニーが鋭く聞いた。「どんなものだったか見えたの」
「いや、はっきりとは」
ハリーは思い出そうとした。
「僕の見たかぎりでは、何にも派手なものはなかった。引っかいたような線が二、三本だったかもしれない。ほんとによく見たのは、指輪が割れたあとだったから」
ハーマイオニーが突然目を見開いたのを見て、ハリーは、ハーマイオニーが何を理解したかを悟さとった。ロンはびっくりして二人を交互に見た。
「おっどろきー……それがまたしても例の印だって言うのか 秘宝ひほうの印だって」
「そうさ」ハリーは興こう奮ふんした。「マールヴォロ・ゴーントは、豚みたいな暮らしをしていた無知な老人で、唯ゆい一いつ、自分の家系かけいだけが大切だった。あの指輪が、何世紀にもわたって受け継がれてきたものだとしたら、ゴーントは、それが本当は何なのかを知らなかったかも知れない。あの家には本なんかなかったし。それに、いいかい、あいつは間違っても、子ども�22章 死の秘宝 The Deathly Hallows(4)