「死し喰くい人びとと同じぐらいワルもいるんだぜ」ロンが言った。「僕を捕まえた一味は、ちょっとお粗末そまつなやつらだったけど、ビルは、すごく危険な連中もいるって言ってる。『ポッターウオッチ』で言ってたけど――」
「何て言った」ハリーが聞き返した。
「『ポッターウオッチ』。言わなかったかな、そう呼ばれてるって 僕がずっと探しているラジオ番組だよ。何が起こっているかについて、本当のことを教えてくれる唯ゆい一いつの番組だ 『例のあの人』路線に従っている番組がほとんどだけど、『ポッターウオッチ』だけは違う。君たちに、ぜひ聞かせてやりたいんだけど、周波しゅうは数すうを合わせるのが難しくて……」
ロンは毎晩のように、さまざまなリズムでラジオのてっぺんを叩たたいて、ダイヤルを回していた。ときどき、龍痘ドラゴンポックスの治療ちりょうのヒントなどがちらりと聞こえたし、一度は「♪大おお鍋なべは灼熱しゃくねつの恋に溢あふれ」が数小節流れてきた。トントンと軽く叩たたきながら、ロンはブツブツとでまかせの言葉を羅列られつし、正しいパスワードを当てようと努力し続けていた。
「普通は、騎き士し団だんに関係する言葉なんだ」ロンが言った。「ビルなんか、ほんとに当てるのがうまかったな。僕も、数撃かずうちゃそのうち当たるだろ……」
しかし、ようやくロンに幸運が巡ってきたときには、もう三月になっていた。ハリーは見張りの当番で、テントの入口に座り、凍いてついた地面を破って顔を出したムスカリの花の群ぐん生せいを、見るともなく見ていた。そのとき、テントの中から、興こう奮ふんしたロンの叫さけび声が聞こえてきた。
「やった、やったぞ パスワードは『アルバス』だった ハリー、入ってこい」
「死しの秘宝ひほう」の思索しさくから何日かぶりに目覚め、ハリーが急いでテントの中に戻ってみると、ロンとハーマイオニーが、小さなラジオのそばにひざまずいていた。手持ちぶさたにグリフィンドールの剣つるぎを磨みがいていたハーマイオニーは、口をぽかんと開けて、小さなスピーカーを見つめていた。そこからはっきりと、聞き覚えのある声が流れていた。