ラジオのダイヤルがくるくる回り、周波しゅうは数すうを合わせるパネルの明かりが消えた。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、まだにっこり笑っていた。聞き覚えのある親しい声を聞くのは、この上ないカンフル剤ざい効果があった。孤立こりつに慣れきってしまい、ハリーは、自分たちのほかにもヴォルデモートに抵てい抗こうしている人々がいることを、ほとんど忘れていた。長い眠りから覚めたような気分だった。
「いいだろう、ねっ」ロンがうれしそうに言った。
「すばらしいよ」ハリーが言った。
「なんて勇ゆう敢かんなんでしょう」ハーマイオニーが敬けい服ふくしながらため息をついた。「見つかりでもしたら……」
「でも、常に移動してるんだろ」ロンが言った。「僕たちみたいに」
「それにしても、フレッドの言ったことを聞いたか」ハリーが興こう奮ふんした声で言った。放送が終わってみれば、ハリーの思いは、また同じところに戻っていた。何もかも焼き尽くすような執しゅう着ちゃくだ。「ヴォルデモートは海外だ まだ杖つえを探しているんだよ。僕にはわかる」
「ハリーったら」
「いい加減かげんにしろよ、ハーマイオニー。どうしてそう頑固がんこに否定するんだ ヴォル――」
「ハリー、やめろ」
「――デモートはニワトコの杖を追っているんだ」
「その名前は『禁句きんく』だ」
ロンが大声を上げて立ち上がった。テントの外でバチッという音がした。
「忠告ちゅうこくしたのに。ハリー、そう言ったのに。もうその言葉は使っちゃだめなんだ――保ほ護ごをかけ直さないと――早く――やつらはこれで見つけるんだから――」
しかし、ロンは口を閉じた。ハリーにはその理由がわかった。テーブルの上の「かくれん防ぼう止し器き」が明るくなり、回り出していた。外の声がだんだん近づいてくる。荒っぽい、興こう奮ふんした声だ。ロンは「灯ひ消けしライター」をポケットから取り出してカチッと鳴らした。ランプの灯ひが消えた。
「両手を挙げて出てこい」
暗くら闇やみの向こうからしゃがれ声がした。
「中にいることはわかっているんだ 六本の杖つえがお前たちを狙ねらっているぞ。呪のろいが誰に当たろうが、俺おれたちの知ったことじゃない」