そう言うフラーの様子は、ウィーズリーおばさんにとても似ていた。そのとき勝手口が開いたので、ハリーはほっとした。雨に髪かみを濡ぬらしたルーナとディーンが、両腕一杯に流木りゅうぼくを抱えて入ってきた。
「……それから耳がちっちゃいの」ルーナがしゃべっていた。「カバの耳みたいだって、パパが言ったけど、ただ、紫むらさき色いろで毛がもじゃもじゃだって。それで、呼ぶときには、ハミングしなきゃなんないんだもン。ワルツが好きなんだ。あんまり早い曲はだめ……」
なんだか居心地が悪そうに、ディーンはハリーのそばを通るときに肩をすくめ、ルーナのあとから食堂兼けん居間に入っていった。そこではロンとハーマイオニーが、夕食のテーブルの準備をしていた。フラーの質問から逃げるチャンスをとらえたハリーは、かぼちゃジュースの入った水差しを二つつかんで、ルーナたちのあとに続いた。
「……それから、あたしの家に来たら、角つのを見せてあげられるよ。パパがそのことで手紙をくれたんだもン。あたしはまだ見てないんだ。だって、あたし、ホグワーツ特急から死し喰くい人びとにさらわれて、それで、クリスマスには家に帰れなかったんだもン」
ディーンと二人で暖炉だんろの火を熾おこし直しながら、ルーナが話していた。
「ルーナ、教えてあげたじゃない」ハーマイオニーが向こうのほうから声をかけた。「あの角つのは爆発したのよ。エルンペントの角だったの。しわしわ角スノーカックのじゃなくて――」
「ううん、絶対にスノーカックの角だったわ」ルーナがのどかに言った。「パパがあたしにそう言ったもン。たぶんいまごろは元通りになってるわ。ひとりでに治るものなんだもン」
ハーマイオニーはやれやれと首を振り、フォークを並べ続けた。そのとき、ビルがオリバンダー氏を連れて階段を下りてきた。杖つえ作つくりは、まだとても弱っている様子で、ビルの腕にすがっていた。ビルは老人を支え、大きなスーツケースを提さげて階段を下りてきた。
「オリバンダーさん、お別れするのは寂さびしいわ」ルーナが老人に近づいてそう言った。
「わしもじゃよ、お嬢じょうさん」オリバンダーが、ルーナの肩を軽く叩たたきながら言った。「あの恐ろしい場所で、君は、言葉には言い表せないほど私の慰なぐさめになってくれた」
「それじゃ、オールヴォアさようなら、オリバンダーさん」フラーはオリバンダーの両頬りょうほほにキスした。「それから、もしできれば、ビルの大おばさんのミュリエールに、包みを届けてくださればうれしいのでーすが あのいひとに、ティアラを返すことができなかったのでーす」
「喜んでお引き受けします」オリバンダーが軽くお辞じ儀ぎしながら言った。「こんなにお世話になったお礼として、そんなことはお安い御用ごようです」
フラーはすり切れたビロードのケースを取り出し、それを開けて中の物を杖作りに見せた。低く吊つられたランプの明かりで、ティアラが燦さん然ぜんと輝いていた。