「ネビル――いったい――どうして――」
ロンとハーマイオニーを見つけたネビルは、歓かん声せいを上げて二人を抱きしめていた。ハリーは、見れば見るほどネビルがひどい姿なのに気がついた。片方の目は腫はれ上がり、黄色や紫むらさきの痣あざになっているし、顔には深く抉えぐられたような痕あとがある。全体にボロボロで、長い間、厳きびしい生活をしていた様子が見て取れた。それでも、ハーマイオニーから離れたときのネビルは、傷きずだらけの顔を幸せそうに輝かせて言った。
「君たちが来ることを信じてた 時間の問題だって、シェーマスにそう言い続けてきたんだ」
「ネビル、いったいどうしたんだ」
「え これ」
ネビルは首を振って、傷のことなど一蹴いっしゅうした。
「こんなの何でもないよ。シェーマスのほうがひどい。いまにわかるけど。それじゃ、行こうか あ、そうだ」
ネビルはアバーフォースを見た。
「アブ、あと二人来るかもしれないよ」
「あと二人」
アバーフォースは険けん悪あくな声で繰り返した。
「何を言ってるんだ、ロングボトム、あと二人だって 夜間外出禁止令が出ていて、村中に『夜よ鳴なき呪じゅ文もん』がかけられてるんだ」
「わかってるよ。だからその二人は、このパブに直接『姿すがた現わし』するんだ」ネビルが言った。「ここに来たら、この通路から向こう側によこしてくれる ありがとう」
ネビルは手を差し出して、ハーマイオニーがマントルピースによじ登り、トンネルに入るのを助けた。ロンがそのあとに続き、それからネビルが入った。ハリーはアバーフォースに挨あい拶さつした。
「何とお礼を言ったらいいのか。あなたは僕たちの命を二度も助けてくださいました」
「じゃ、その命を大切にするんだな」
アバーフォースがぶっきらぼうに言った。
「三度は助けられないかもしれんからな」
ハリーはマントルピースによじ登り、アリアナの肖しょう像ぞう画がの後ろの穴に入った。絵の裏うら側には、滑なめらかな石の階段があり、もう何年も前からトンネルがそこにあるように見えた。真鍮しんちゅうのランプが壁かべに掛かかり、地面は踏ふみ固められて平らだ。歩く四人の影が、壁に扇おうぎのように折れて映っていた。