「この通路、どのくらい前からあるんだ」
歩き出すとすぐに、ロンが聞いた。
「『忍しのびの地ち図ず』にはないぞ。な、ハリー、そうだろ 学校に出入りする通路は、七本しかないはずだよな」
「あいつら、今学期の最初に、その通路を全部封鎖ふうさしたよ」ネビルが言った。「もう、どの道も絶対通れない。入口には呪のろいがかけられて、出口には死し喰くい人びとと吸きゅう魂こん鬼きが待ち伏せしてるもの」
ネビルはにこにこ顔で後ろ向きに歩きながら、三人の姿をじっくり見ようとしていた。
「そんなことはどうでもいいよ……ね、ほんと グリンゴッツ破りをしたって ドラゴンに乗って脱出したって 知れ渡ってるよ。みんな、その話で持ちきりだよ。テリー・ブートなんか、夕食のときに大おお広ひろ間までそのことを大声で言ったもんだから、カローにぶちのめされた」
「うん、ほんとだよ」ハリーが言った。
ネビルは大喜びで笑った。
「ドラゴンは、どうなったの」
「自然に帰した」ロンが言った。「ハーマイオニーなんか、ペットとして飼かいたがったけどさ――」
「大げさに言わないでよ、ロン――」
「でも、これまで何していたの みんなは、君が逃げ回ってるって言ったけど、ハリー、僕はそうは思わない。何か目的があってのことだと思う」
「そのとおりだよ」ハリーが言った。「だけど、ホグワーツのことを話してくれよ、ネビル、僕たち何にも聞いてないんだ」
「学校は……そうだな、もう以前のホグワーツじゃない」ネビルが言った。
話しながら笑顔が消えていった。
「カロー兄妹きょうだいのことは知ってる」
「ここで教えている、死喰い人の兄妹のこと」
「教えるだけじゃない」ネビルが言った。「規律きりつ係なんだ。体たい罰ばつが好きなんだよ、あのカロー兄妹は」
「アンブリッジみたいに」
「ううん、二人にかかっちゃ、アンブリッジなんてかわいいもんさ。ほかの先生も、生徒が何か悪さをすると、全部カロー兄妹に引き渡すことになってるんだ。だけど、渡さない。できるだけ避さけようとしてるんだよ。先生たちも僕らと同じくらい、カロー兄妹を嫌ってるのがわかるよ」
「アミカス、あの男、かつての『闇やみの魔術まじゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』を教えてるんだけど、いまじゃ『闇の魔術』そのものだよ。僕たち、罰ばっ則そくを食らった生徒たちに『磔はりつけの呪じゅ文もん』をかけて練習することになってる」
「えーっ」
ハリー、ロン、ハーマイオニーの声が一いっ緒しょになって、トンネルの端はしから端まで響ひびいた。