傷痕が疼うずき続け、また頭が割れてしまいそうな予感の中で、ハリーは急いで考えを巡らした。ダンブルドアは、分霊箱のことはロンとハーマイオニー以外の誰にも言うなと警けい告こくした。秘密と嘘うそをな。俺たちはそうやって育った。そしてアルバスには……天性のものがあった……ハリーは、ダンブルドアになろうとしているのだろうか。秘密を胸に抱え、信用することを恐れているのか しかしダンブルドアはスネイプを信じた。その結果どうなったか いちばん高い塔とうの屋上での殺人……。
「わかった」ハリーは二人に向かって小声で言った。
「よーし、みんな」ハリーが「必要ひつようの部へ屋や」全体に呼びかけると、話し声がやんだ。近くにいる仲間に冗談じょうだんを飛ばしていたフレッドとジョージもぴたりと静かになり、全員が緊張きんちょうし、興奮しているように見えた。
「僕たちはあるものを探している」ハリーが言った。「それは――『例のあの人』を打倒する助けになるものだ。このホグワーツにある。しかし、どこにあるのかはわからない。レイブンクローに属する何かかもしれない。誰か、そういうものの話を聞いたことはないか 誰か、たとえば鷲わしの印がある何かを、どこかで見かけたことはないか」
ハリーはもしやと期待しながら、レイブンクローの寮りょう生せいたちを見た。パドマ、マイケル、テリー、チョウ。しかし答えたのは、ジニーの椅い子すの肘ひじにちょこんと腰掛こしかけていたルーナだった。
「あのね、失われた髪飾りダイアデムがあるわ。その話をあんたにしたこと、ハリー、覚えてる レイブンクローの失われた髪かみ飾かざりのことだけど パパがそのコピーを作ろうとしたんだもン」
「ああ、だけど失われた髪飾りって言うからには――」
マイケル・コーナーが、呆あきれたように目をぐるぐるさせながら言った。
「失われたんだ、ルーナ。そこが肝かん心じんなところなんだよ」
「いつごろ失われたの」ハリーが聞いた。
「何百年も前だという話よ」
チョウの言葉で、ハリーはがっかりした。
「フリットウィック先生がおっしゃるには、髪飾りはレイブンクローと一いっ緒しょに消えたんですって。みんな探したけど、でも」
チョウは、レイブンクロー生に向かって訴うったえかけるように言った。
「誰もその手がかりを見つけられなかった。そうよね」
レイブンクロー生がいっせいにうなずいた。
「あのさ、髪飾りって、どんなものだ」ロンが聞いた。
「冠かんむりみたいなものだよ」テリー・ブートが言った。「レイブンクローの髪飾りは、魔法の力があって、それをつけると知恵が増すと考えられていたんだ」
「うん、パパのラックスパート吸い上げ管は――」
しかし、ハリーがルーナを遮さえぎった。