「それで、誰もそれらしいものを見たことがないのか」
みんなはまたうなずいた。ハリーはロンとハーマイオニーの顔を見たが、自分の失望が鏡のように映っているのを見ただけだった。長い間失われた品、そして手がかりさえない品が、城に隠された分ぶん霊れい箱ばこである可能性はないように思われた……しかし、ハリーが別な質問を考えているとき、チョウがまた口を開いた。
「その髪飾りが、どんな形をしているか見たかったら、ハリー、私たちの談話室に連れていって、見せてあげるけど レイブンクローの像が、それを着けているわ」
ハリーの傷きず痕あとがまた焼けるように痛んだ。一瞬いっしゅん「必ひつ要ようの部へ屋や」がぐらついてぼやけ、暗い大地がぐんぐん下になり、大だい蛇じゃが肩に巻きついているのを感じた。ヴォルデモートはまた飛び立ったのだ。地下の湖へか、このホグワーツ城へか、ハリーにはわからなかった。どちらにしても、もう残された時間はほとんどない。
「あいつが動き出した」
ハリーはロンとハーマイオニーにこっそり言った。ハリーはチョウをちらりと見て、それからまた二人を見た。
「こうしよう。あんまりいい糸口にはならないと思うけど、でも、その像を見てくる。少なくとも、その髪かみ飾かざりがどんなものかがわかる。ここで待っていてくれ、そして、ほら――もう一つのあれを――安全に保管していてくれ」
チョウが立ち上がったが、ジニーがかなり強い調子で言った。
「ダメ。ルーナがハリーを案内するわ。そうよね、ルーナ」
「えぇェー、いいわよ。喜んで」
ルーナがうれしそうに言い、チョウは失望したような顔で、また座った。
「どうやって出るんだ」ハリーがネビルに聞いた。
「こっちからだよ」
ネビルはハリーとルーナを、部屋の隅すみに案内した。そこにある小さな戸棚とだなを開くと、急な階段に続いていた。
「行く先が毎日変わるんだ。だからあいつらは、絶対に見つけられない」ネビルが言った。「ただ問題は、出ていくのはいいんだけど、行く先がどこになるのか、はっきりわからないことだ。ハリー、気をつけて。あいつら、夜は必ず廊下ろうかを見回っているから」
「大丈夫」ハリーが答えた。「すぐ戻るよ」