次の階段のいちばん上でマクゴナガル教授と別れ、ハリーとルーナは「必要ひつようの部へ屋や」の隠された入口に向かって走り出した。途中で、生徒たちの群れに出会った。大多数がパジャマの上に旅行用のマントを着て、先生や監かん督とく生せいたちに導かれながら大広間に向かっていた。
「あれはポッターだ」
「ハリー・ポッター」
「彼だよ、間違いない、僕、いまポッターを見たよ」
しかしハリーは振り向かなかった。そしてやっと「必要の部屋」の入口にたどり着き、魔法のかかった壁かべに寄り掛かかると、壁が開いて二人を中に入れた。ハリーとルーナは、急な階段を駆かけ下りた。
「うわ――」
部屋が見えたとたん、ハリーは驚いて階段を二、三段踏ふみ外はずした。満員だ。部屋を出たときより、さらに混み合っている。キングズリーとルーピンが、ハリーを見上げていた。オリバー・ウッド、ケイティ・ベル、アンジェリーナ・ジョンソン、アリシア・スピネット、ビルとフラー、それにウィーズリー夫妻も見上げている。
「ハリー、何が起きているんだ」階段下でハリーを迎えたルーピンが聞いた。
「ヴォルデモートがこっちに向かっているんだ。先生方が、学校にバリケードを築いている――スネイプは逃げた――みんな、なんでここに どうしてわかったの」
「俺おれたちが、ダンブルドア軍団のほかのメンバー全員に、伝言を送ったのさ」フレッドが説明した。「こんなおもしろいことを、見逃すやつはいないぜ、ハリー。それで、が不ふ死し鳥ちょうの騎き士し団だんに知らせて、雪だるま式に増えたってわけだ」
「何から始める、ハリー」ジョージが声をかけた。「何が起こっているんだ」
「小さい子たちを避難ひなんさせている。全員が大おお広ひろ間まに集まって準備じゅんびしている」ハリーが言った。「僕たちは戦うんだ」
ウオーッと声が上がり、みんなが階段下に押し寄せた。全員が次々とハリーの前を走り過ぎ、ハリーは壁かべに押しつけられた。不死鳥の騎士団、ダンブルドア軍団、ハリーの昔のクィディッチ・チームの仲間、みんなが交じり合い、杖つえを抜き、城の中へと向かっていた。
「来いよ、ルーナ」
ディーンが通りすがりに声をかけ、空あいている手を差し出した。ルーナはその手を取り、ディーンに従ついてまた階段を上っていった。