「ポッター」
生徒たちが指示を受けようと壇上に殺さっ到とうして、押し合いへし合いしている中を、マクゴナガル教授が急ぎ足でハリーに近づいてきた。
「何か探し物をするはずではないのですか」
「えっ あ――」ハリーが声を上げた。「あっ、そうです」
ハリーは、分ぶん霊れい箱ばこのことをすっかり忘れていた。この戦せん闘とうが、ハリーがそれを探すために組織されているということを、忘れるところだった。ロンとハーマイオニーの謎なぞの不在が、他のことを一時的に頭から追い出してしまっていた。
「さあ、行くのです。ポッター、行きなさい」
「はい――ええ――」
目という目が自分を追っているのを感じながら、ハリーは大おお広ひろ間まから走り出し、避ひ難なん中ちゅうの生徒たちで依然いぜんごった返している玄げん関かんホールに出た。生徒たちの群れに流されるままに、ハリーは大だい理り石せきの階段を上り、上りきったところからは人気ひとけのない廊下ろうかに沿って急いだ。緊きん迫ぱくした恐きょう怖感ふかんで、ハリーの思考は鈍にぶっていた。ハリーは気を落ち着けて、分霊箱を見つけることに集中しようとした。しかし頭の中は、ガラス容器に囚とらわれたスズメバチのように虚むなしくブンブンうなるばかりで、助けてくれるロンとハーマイオニーがいないと、どうも考えがまとまらなかった。ハリーは、誰もいない廊下の中ほどで歩調を緩ゆるめて立ち止まり、主のいなくなった像の台座に腰掛こしかけて、首に掛かけた巾着きんちゃくから「忍しのびの地ち図ず」を取り出した。ロンとハーマイオニーの名前は、地図のどこにも見当たらなかった。もっともいまは、「必ひつ要ようの部へ屋や」に向かう群れの点がびっしりとついているので、二人の点が埋もれている可能性もあるとハリーは思った。ハリーは、地図を巾着にしまい、両手に顔を埋うずめて目を閉じ、集中しようとした……。
ヴォルデモートは、僕がレイブンクローの塔とうに行くだろうと考えた。
そうだ。確固かっこたる事実、そこが出発点だ。ヴォルデモートは、アレクト・カローをレイブンクローの談話室に配備した。そのわけはただ一つだ。ヴォルデモートは、分ぶん霊れい箱ばこがその寮りょうに関係していると、すでにハリーが知っていることを恐れたのだ。
レイブンクローとの関連で考えられる唯ゆい一いつの品は、失われた髪かみ飾かざりらしい……だが、その髪飾りが分霊箱になりえたのだろうか レイブンクロー生でさえ、何世代もにわたって見つけられなかったその髪飾りを、スリザリン生であるヴォルデモートが見つけた そんなことがありうるだろうか どこを探せばよいかを、いったい誰が教えたのだろう 生きている者の記憶にあるかぎりでは、誰も見たものはないというのに
生きている者の記憶……。
“波特,”麦格教授说着匆匆向他走来,这时同学们都朝 讲台拥去,推推搡搡地抢位置,接受指令,“你不是要寻找什 么东西吗?”