戦いの最初の犠ぎ牲せい者しゃが、すでに行く手の通路に散らばっていた。いつも職員室の入口を護衛ごえいしていた一対の石のガーゴイル像が、どこか壊こわれた窓から流れてきた呪のろいに破壊はかいされ、残ざん骸がいが床でピクピクと力なく動いていたのだ。ハリーが胴体から離れた首の一つを飛び越えたとき、首が弱々しくうめいた。
「ああ、俺にかまわずに……ここでバラバラのまま横になっているから……」
その醜みにくい顔が、突然、ゼノフィリウスの家で見たロウェナ・レイブンクローの大だい理り石せきの胸像を思い出させた。あのばかばかしい髪かみ飾かざりをつけた像――それから、白い巻き毛の上に石の髪飾かざりをつけた、レイブンクローの塔とうの像……。
そして、廊下ろうかの端はしまで来たときに、三つ目の石の彫像ちょうぞうの記憶が戻ってきた。あの年老いた醜みにくい魔法戦士の像……その頭にハリー自身が鬘かつらを被かぶせ、その上に古い黒ずんだティアラを置いた――。ファイア・ウィスキーを飲んだような熱い衝撃しょうげきが体を貫き、ハリーは転びかけた。
ついにハリーは、自分を待ち受けている分ぶん霊れい箱ばこの在あり処かを知った……。
誰も信用せず、一人で事を運んだトム・リドルは傲ごう慢まんにも、自分だけがホグワーツ城の奥深い神秘しんぴに入り込むことができると思ったのだろう。もちろん、ダンブルドアやフリットウィックのような模も範はん生せいは、あのような場所に足を踏ふみ入れることはなかった。しかし、この自分は、学校の誰もが通る道から外はずれたところを彷徨さまよった――ここに、ハリーとヴォルデモートだけが知る秘密があった。ダンブルドアが見つけることのなかった秘密を、とうとうハリーは見つけたのだ――。
そのとき、ネビルと、ほかに六人ほどの生徒を連れて嵐のように走り去るスプラウト先生に追い越され、ハリーは我に返った。全員が耳当てをつけ、大きな鉢植はちうえ植物のような物を抱えている。
「マンドレイクだ」
走りながら振り返ったネビルが、大声で言った。
「こいつを城壁じょうへき越しにあいつらにお見舞いしてやる――きっといやがるぞ」
どこに行くべきかがわかったハリーは、全力で走った。その後ろを、ハグリッドとファングが早駆はやがけで従ついてきた。次々と肖しょう像ぞう画がの前を通り過ぎたが、絵の主たちもハリーたちと一いっ緒しょに走っていた。肖像画の魔法使いや魔女たちが、襞襟ひだえりや中世の半ズボン姿で、あるいは鎧よろいやマント姿で、互たがいのキャンバスになだれ込んではぎゅう詰めになり、城のあちこちで何が起きているかを大声で知らせ合っていた。その廊下の端まで来たとき、城全体が揺ゆれた。大きな花瓶かびんが、爆弾の炸さく裂れつするような力で台座から吹き飛ばされたのを見て、ハリーは、先生たちや騎き士し団だんのメンバーがかけた呪じゅ文もんより破は壊かい的てきで不吉な呪いが、城をとらえたことを悟さとった。
前面的通道上已经躺着战场上的第一批伤亡者:平时看守 教师办公室入口的两个石兽已被从另一扇破窗户射进来的恶咒 击中,变得四个四分五裂,残片在地板上有气无力地蠕动着。 哈利从一个与身体分家的脑袋上一跃而过时,它虚弱地呻吟道 :“哦,别管我……就让我躺在这儿,自生自灭吧……”