僕は、すべての物が隠されている場所が必要だ。
ハリーは頭の中で部屋に頼み込んだ。三人が壁の前を三度走り過ぎたとき、扉とびらが現れた。
三人が中に入って扉を閉めたとたん、戦いの騒ぎは消えた。あたりは静まり返っていた。三人は、都市のような外観の大だい聖せい堂どうにも似た広大な場所に立っていた。大昔からの、何千人という生徒たちが隠した品物が積み重なって、見上げるような壁になっている。
「それじゃ、あいつは、誰でもここに入れるとは考えなかったわけか」
ロンの声が静寂せいじゃくの中で響ひびいた。
「あいつは自分一人だけだと思ったんだ」
ハリーが言った。
「僕の人生で、隠し物をしなくちゃならないときがあったというのが、あいつの不運さ……こっちだ」
ハリーは二人を促うながした。
「こっちの並びだと思う……」
ハリーはトロールの剥はく製せいを通り過ぎ、ドラコ・マルフォイが去年修理して、悲惨ひさんな結果をもたらした「姿すがたをくらますキャビネット棚だな」の前を通った。それから先は、ガラクタの間の通路を端はしから端まで見ながら迷った。次はどう行くのかが思い出せなかった……。
「アクシオ 髪かみ飾かざりよ、来い」必死のあまり、ハーマイオニーが大声で唱となえたが、三人に向かって飛んでくる物は何もなかった。グリンゴッツの金庫と同じで、どうやらこの部屋は、隠してある品を、そうやすやすとは引き渡さないようだ。
「手分けして探そう」ハリーが二人に言った。「老魔法戦士の石像を探してくれ。鬘かつらを被かぶってティアラをつけているんだ 戸棚の上に載のっている像だ。絶対にこの近くなんだけど……」
三人は、それぞれ隣合となりあわせの通路へと急いだ。そびえるガラクタの山の間に二人の足音が響ひびくのが、ハリーの耳に入ってきた。瓶びんや帽子ぼうし、木箱、椅い子す、本、武器、箒ぃ�ーツの戦い(17)