場面がまた消えた。ホグワーツ特急はガタゴトと田園を走っている。スネイプが列車の通路を急ぎ足で歩いていた。すでに学校のローブに着き替がえている。たぶんあの不ぶ恰かっ好こうなマグルの服をいち早く脱ぎたかったのだろう。やがてスネイプは、あるコンパートメントの前で立ち止まった。中では騒々しい男の子たちが話している。窓まど際ぎわの隅すみの席に体を丸めてリリーが座っていた。顔を窓ガラスに押しつけている。
スネイプはコンパートメントの扉とびらを開け、リリーの前の席に腰掛こしかけた。リリーはちらりとスネイプを見たが、また窓に視線を戻した。泣いていたのだ。
「あなたとは、話したくないわ」リリーが声を詰まらせた。
「どうして」
「チュニーがわたしを、に――憎んでいるの。ダンブルドアからの手紙を、わたしたちが見たから」
「それが、どうしたって言うんだ」
リリーは、スネイプなんて大嫌いだという目で見た。
「だってわたしたち、姉妹なのよ」
「あいつはただの――」
スネイプは素早く自分を抑おさえた。気づかれないように涙を拭ぬぐうのに気を取られていたリリーは、スネイプの言葉を聞いていなかった。
「だけど、僕たちは行くんだ」
スネイプは、興奮を抑えきれない声で言った。
「とうとうだ 僕たちはホグワーツに行くんだ」
リリーは目を拭いながらうなずき、思わず半分微笑ほほえんだ。
「きみは、スリザリンに入ったほうがいい」
リリーが少し明るくなったのに勇気づけられて、スネイプが言った。
「スリザリン」
同じコンパートメントの男の子の一人が、そのときまではリリーにもスネイプにもまったく関心を示していなかったのに、その言葉で振り返った。それまで窓まど際ぎわの二人にだけ注意を集中させていたハリーは、初めて自分の父親に気づいた。細身でスネイプと同じ黒い髪かみだったが、どことなくかわいがられ、むしろちやほやされてきたという雰ふん囲い気きを漂わせていた。スネイプには、明らかに欠けている雰囲気だ。
场景又消失了。