ハリーはスネイプのすぐ後ろで、蝋ろう燭そくに照らされた寮りょうのテーブルに向かって立っていた。テーブルには、夢中で見つめる顔がずらりと並んでいる。そのとき、マクゴナガル教授きょうじゅが呼んだ。
「エバンズ、リリー」
ハリーは、自分の母親が震える足で進み出て、ぐらぐらした丸まる椅い子すに腰掛こしかけるのを見守った。マクゴナガル教授が組分け帽子ぼうしをリリーの頭に被かぶせた。すると、深みのある赤い髪かみに触ふれた瞬間しゅんかん、一秒びょうとかからずに「帽子」が叫さけんだ。
「グリフィンドール」
ハリーは、スネイプが小さくうめき声を漏もらすのを聞いた。リリーは「帽子」を脱ぎ、マクゴナガル教授に返して、歓迎に沸わくグリフィンドール生の席に急いだ。しかしその途中でスネイプをちらりと振り返ったリリーの顔には、悲しげな微笑が浮かんでいた。ハリーは、ベンチに腰掛けていたシリウスが横に詰めて、リリーに席を空けるのを見た。リリーは、一目で列車で会った男子だとわかったらしく、腕組みをしてあからさまにそっぽを向いた。
点呼てんこが続いた。ハリーは、ルーピン、ペティグリュー、そして父親が、リリーとシリウスのいるグリフィンドールのテーブルに加わるのを見た。そして、あと十数人の組分けを残すだけになり、マクゴナガル教授がスネイプの名前を呼んだ。
ハリーは一いっ緒しょに丸椅子まで歩き、スネイプが帽子を頭に載のせるのを見た。
「スリザリン」組分け帽子が叫んだ。
そしてセブルス・スネイプは、リリーから遠ざかるように大おお広ひろ間まの反対側に移動し、スリザリン生の歓迎に迎えられた。監かん督とく生せいバッジを胸に光らせたルシウス・マルフォイが、隣となりに座ったスネイプの背中を軽く叩たたいた……。
そして場面が変わった……。