リリーとスネイプが、城の中庭を歩いていた。明らかに議論している様子だ。ハリーは急いで追いかけ、聞こうとした。追いついてみると、二人がどんなに背が伸びているかに気づいた。組分けから数年経たっているらしい。
「……僕たちは友達じゃなかったのか」スネイプが言っていた。「親友だろう」
「そうよ、セブ。でも、あなたが付き合っている人たちの、何人かが大嫌いなの 悪いけど、エイブリーとかマルシベール。マルシベール セブ、あの人のどこがいいの あの人、ぞっとするわ この間、あの人がメリー・マクドナルドに何をしようとしたか、あなた知ってる」
リリーは柱に近づいて寄り掛かかり、細長い土つち気け色いろの顔を覗のぞき込んだ。
「あんなこと、何でもない」スネイプが言った。「冗談じょうだんだよ。それだけだ――」
「あれは『闇やみの魔術まじゅつ』よ。あなたが、あれがただの冗談だなんて思うのなら――」
「ポッターと仲間がやっていることは、どうなんだ」
スネイプが切り返した。憤いきどおりを抑おさえられないらしく、言葉を吐はくと同時にスネイプの顔に血が上った。
「ポッターと、何の関係があるの」
「夜こっそり出歩いている。ルーピンてやつ、何だか怪しい。あいつはいったい、いつもどこに行くんだ」
「あの人は病気よ」リリーが言った。「病気だってみんなが言ってるわ――」
「毎月、満月のときに」スネイプが言った。
「あなたが何を考えているかは、わかっているわ」
リリーが言った。冷たい口調だった。
「どうして、あの人たちにそんなにこだわるの あの人たちが夜何をしているかが、なぜ気になるの」
「僕はただ、あの連中は、みんなが思っているほどすばらしいわけじゃないって、きみに教えようとしているだけだ」
スネイプの眼差まなざしの激はげしさに、リリーは頬ほおを赤らめた。